経営の健全性・効率性について
経営の健全性については、収益的収支は収入支出ともに昨年度より減少している。収支については、給水収益が概ね横ばい傾向となっているが、他会計補助金及び県補助金が減少傾向にある。支出については、大きな割合を占める受水費が給水量の減少に関わらず給水協定の関係から概ね一定の額で推移している。資本的収支については、大規模事業が完了した後のため事業費の変動が大きいことや、企業債の借入や償還などで、一定の傾向がつかめないものの、長期的には収支共に減少している。効率性については、本水道事業の浄配水施設は、稼働率が悪く効率的に運用されていない。特に受水系施設(須賀谷、大原、音羽)の稼働率が低く、約40%の受水料金が使用されないまま経費となっていたが、大寺配水池の移設更新事業により使用割合が上がり約80%の使用率となった。今後、小池配水池への配管布設事業によりさらに使用割合が高くなる見込みである。本市の有収率は、千葉県・全国より低い値となっている。今後対策を施さない場合、有収率の低下は進行し、水需要の減少による収益悪化により経営面に深刻影響を及ぼすため管路更新や漏水防止対策の推進により有収率を改善する必要がある。
老朽化の状況について
浄配水場施設は、法定耐用年数を迎えた施設はなく、大野・山田・小沢が給水開始から40年以上経過し、音羽・須賀谷・大原は30年未満となっている。建築・土木施設とも今後20~30年は健全性が保てると予測されるが、施設の経年化は確実に進行していくため、計画的な更新や補修を実施していく必要がある。電気・機械設備の多くが耐用年数を超えて使用されており、既存の設備は70~80%が老朽資産となっている。安定的に水道サービスを持続していくためには、不具合が発生する前に計画的に更新していく必要がある。経年劣化と思われる漏水が多く、各配水池の流量等を確認しその配水系統を漏水調査し早期発見に努め、管路の更新計画に基づき、重要度や優先度を考慮し修繕を実施する。
全体総括
本市の水道事業は、給水開始から約50年が経過し、管理棟やダム、浄水施設、配水池等の構築物、基幹管路等の経年化が進み、多くの施設が更新期を迎えている。将来にわたって安定給水を確保していくためには、これらの経年施設を計画的に改良・更新していかなくてはならない。また、人口減少等により収益性は低下し、厳しい状況になっていくため、今後は給水需要に応じた施設規模の見直しや施設の統廃合を進めていく必要がある。現在、南房総地域の末端給水事業者統合に向けた作業が進められており、広域水道企業団のビジョンとの整合性を取るためいすみ市水道事業ビジョン並びに経営戦略を基に財政面を考慮しながら計画的な施設の改修・更新、広域化を含めた安定的な事業運営を目指す。