経営の健全性・効率性について
令和3年度は経常収支比率が前年度より減少し、104.89%となりました。前年度と比較して、給水収益の減少や一般会計補助金の減額等により経常収益が減少した一方、人事異動等による人件費の増や機械の更新による固定資産除却費の増等により、経常費用が増加したことによるものです。流動比率は、健全な状況を保っています。企業債残高対給水収益比率の上昇は、収益が減少傾向にあることと起債残高が上昇していることの二つの要因を持っています。将来へ負担を先送りしないように適正な水準を見極め、起債借入の抑制や繰上げ償還を検討していく必要があります。給水原価はほぼ横ばい推移となりましたが、今後は年間有収水量が減少していく見込みのため、給水原価は増加推移していく見通しです。上昇幅を最小限に抑えるため、より費用抑制に努める必要があります。料金回収率もほぼ横ばい推移となりましたが、今後の給水原価の増加見込みに伴い減少推移が見込まれるため、適切な滞納管理により料金収入の向上を図る必要があります。また、基準外の繰入金についても必要最小限に抑えられるよう検討していきます。施設利用率は、類似団体と比較し低い数値となっていますが、営農用の新規利用で配水量が増加する見込もあるなど、スペックダウンやダウンサイジングについては慎重に検討を進めていく必要があります。有収率は類似団体と比較して高い水準となっていますが、令和3年度は漏水の発生等により4.27%の減少となっています。有収率を改善できるよう、施設の適切な維持管理に努めます。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率はほぼ横ばいで推移しており、平均値と比較しても数値が小さいことから、現有資産の多くは耐用年数を多く残している資産と判断できます。これは管路経年化率からも同様の傾向がみられるため、管路の老朽化は低い状況にあるといえます。現在の管渠更新は、市街地区の石綿セメント管の取替に重点を置き、中長期的な計画のもと実施しています。耐震性に難点があり、老朽化の著しい市街地区の石綿セメント管を更新していくことで、水道水の安定供給を目指しています。
全体総括
令和3年度の経営状況は、給水収益の減少と費用の増加により、経常収支比率が減少推移しました。今後も料金収入は減少推移が見込まれるため、適切な滞納管理による料金収入の確保と、費用増加の抑制がより重要になります。経営戦略の検証、更新を確実に実践し、安定した事業運営に努めます。また、水道広域化推進プラン策定に関する検討会の協議内容を注視しながら、近隣市町村との情報共有や、連携して取り組めるものがないかの検討を続けます。