経営の健全性・効率性について
【経営の健全性】「①経常収支比率」で示すとおり、収入は支出の約111%となり、黒字となりました。「③流動比率」は、短期債務の支払能力を示しています。依然として類似団体、全国平均を大きく下回る状況ですが資金不足は発生していません。「⑤料金回収率」は料金水準を示しており、令和3年度の回収率は100%を下回り、製造・販売などにかかる費用を料金収入で賄えていないことを表しています。「⑥給水原価」は、有収水量1㎥あたりの単価を示しており、全国平均や類似団体と比べ低額であり、経費を低く抑えていることを表しています。【効率性】「⑦施設利用率」は、配水能力のうち、どの程度利用しているかを示しています。斜里町の年間での使用率は45%程度であり、全国平均値及び類似団体値に比べ低くなっています。これは、上水道事業においては災害等に対する備え分であり、簡易水道事業においては、観光地区であることから、季節や年度ごとの観光客数の変動に対応できる配水能力を確保しているためです。また、上水道と簡易水道では地理的に40km離れているという特殊性もあり、施設の統廃合やダウンサイジングが非常に困難であることから、一概に効率性が悪いとはいえない状況です。「⑧の有収率」は、令和2年度から減少していますが、水量の一部を推計控除から実測控除とし実態に即した値となっています。
老朽化の状況について
「①有形固定資産減価償却率」は、老朽化がどの程度進んでいるかを表すものであり、全国平均値及び類似団体値と同程度となっています。また、耐用年数を超えた管路の割合を表す「②管路経年化率」は、類似団体等よりも低い状況です。一方、「③管路更新率」は、1年間に更新した管路の割合を表すもので、近年減少が続いてきましたが、これは、企業債(借金)の依存度が高いことや、赤字決算が続いていたことから、管路更新を先送りしてきたことによるものです。近年でもっとも高い0.71%の割合で更新工事を行った場合でも、全ての管を更新するのに140年以上かかる計算です。管路の更新を先送りすると、漏水事故が多発する危険性が高まるため、計画的に老朽管の更新を行っていく必要があります。
全体総括
水道事業は、住民生活のみならず、経済活動を支える上でも欠くことのできない事業であり「安全・安心・安定」の水を供給し続けていく必要があります。これまで、施設の老朽化対策を優先的に進めるなど施設の維持・管理を行いながら、低料金で水の供給を行ってきましたが、人口減少に伴う利用者数の落ち込みや、長引く新型コロナウイルス感染症の影響などにより、さらに厳しい経営となることが想定されます。環境の変化に対応し安定した経営を行うため、策定した経営計画を基に、計画と現状との比較分析を行いながら、更なる経費削減に努め、料金改定等の取組みを進めます。