経営の健全性・効率性について
本市においては、経常収支比率(グラフ①)においては、例年100%以上を保っており経営は安定している。流動比率(グラフ③)の平成26年度数値については、会計基準の見直し(借入資本金の負債計上)によるもので平成25年度以前とは単純に比較できない数値であるが100%以上維持しているため健全性は保たれている。料金回収率(グラフ⑤)については、100%以上となっており、今後においても給水に掛かる費用については、独立採算を維持する努力が必要である。また、グラフ①⑤⑥の数値については平成25年以降改善傾向にあり、この要因としては、平成25年度の県受水費の値下げによる効果である。本市の給水施設における最大供給量は、現在、1日あたり38,000㎥であるが、昨今の人口減少傾向により、施設利用率(グラフ⑦)は、51%に落ち込み、将来的には、総配水量の減少及び給水収益の下降傾向が進むと推測されることから、経営を逼迫することが考えられる。今後は、施設の稼働状況が収益につながる有収率(グラフ⑧)の向上、窓口業務等の営業体制の見直し及び水道事業経費の削減についての対策を講じる必要がある。
老朽化の状況について
本市水道事業は、昭和11年2月の供給を開始して現在80年が経過しており、資産の老朽化具合を示す有形固定資産減価償却率(グラフ①)についても年々上昇傾向にあり、一般に数値が100%に向かうほど資産の法定耐用年数に近づいているので、老朽化した施設の更新等の必要性が推測される。管路経年化率(グラフ②)においては、年々増加し法定耐用年数を経過した管路も多数保有していることから、定期的に更新する必要がある。管路更新率(グラフ③)については、5年平均が0.85%となり、全ての管路を更新するのに100年以上かかる更新ペースである。ただし、類似団体の平均値と比較しても、特に本市の更新率が著しく劣っていないと分析できる。
全体総括
本市の水道普及率は100%に達し、「拡張」の時代から「維持・更新」の時代へ事業の転換期を迎えている。今後は、老朽化した市内3ヶ所にある配水場施設の耐震化整備事業など新たに給水収益にはつながらない建設投資が必要となり、給水収益が下降傾向にある中、厳しい財政運営が予想される。将来においても健全な事業運営を維持していくためには、民間の専門知識や技術の導入及び、効率性を活用することが望ましい業務について民間委託の検討を行うなど事業の合理化・効率化を図っている。