経営の健全性・効率性について
経常収支比率(グラフ①)から、経常収支が黒字を保っていること、企業債残高対給水収益比率(グラフ④)から、企業債等の借入金残高がほとんどないこと、料金回収率(グラフ⑤)が高いことなどから、当市の経営状況は健全性が高いと考えられます。しかしながら、今後は老朽管更新費用の増加が見込まれるため、その財源として企業債の借入が必要となってきますので、流動比率(グラフ③)は減少し、企業債残高対給水収益比率(グラフ④)は増加していくものと予想されます。今後につきましては、給水人口の減少や市民の節水意識の向上、専用水道保有企業の増加などによる料金収入の減少により、経営状況は徐々に悪化していくものと予想されます。そのため、施設利用率(グラフ⑦)が示すように、今後も施設利用率は低い状況が続くものと考えられますので、施設を更新する際には適切な規模となるよう、ダウンサイジングを行い更新費用の抑制に努める必要があります。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率(グラフ①)や、管路経年化率(グラフ②)において、高い数値がみられ、類似団体よりも施設等の老朽化が進んでいると考えられます。2つ保有している浄水場に関しては、北郡山浄水場、昭和浄水場ともに老朽化が著しいため、改修するにあたり高額な費用が必要となります。そのため、施設の規模適正化や統廃合も検討し、更新費用の圧縮を図る必要があります。また、管路については、40年以上経過した管路が32%、30年から40年経過した管路が20%あり、管路更新率(グラフ③)は、平均年間1.5%と類似団体よりも高いものの、今後も老朽化が進むと予想されますので、施設整備計画に従い、年1.5%の更新率を維持しながら管路更新を進めていく予定です。
全体総括
比較的良好な現在の経営状況ですが、今後においては配水量の減少による料金収入の減少や、施設の老朽化の進行が予想されるため、その対策費用を確保しながら計画的に施設整備を進めていく必要があります。それゆえ、当市の水道事業ビジョン、及び施設整備計画に基づいて平成29年度より計画的に老朽管の更新を実施しています。また、現在、検針・料金徴収・開閉栓・窓口業務等の包括委託、浄水場の施設運転・維持管理の業務委託、自己水より割高な受水費を配水量の約50%に抑えることなどにより経営の効率化を図っていますが、配水量の減少により施設利用率が年々低下していますので、施設の更新を行う際には、浄水能力や配水池容量を縮小していく予定にしております。