経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、類似団体より低いものの100%を上回り累積欠損金もない。また、流動比率も上昇してきており、現時点での経営状態は比較的良好である。企業債残高対給水収益比率は、類似団体より高いものの減少を続けており、計画的に更新事業を実施し、企業債の発行を抑制している効果がみられる。地理的に送水に必要な配水場などの施設が多いこと、配水管の布設延長に対する住宅密度が低いことなどの要因により事業費が割高となっており、給水原価が類似団体の2倍程度であり、料金回収率も類似団体より低く100%を下回っていて、一般会計繰入金(繰出基準内)により経営の安定が保たれている。また有収率は、横ばい傾向ではあるが類似団体より低く、管路の更新を実施するとともに、漏水調査等の対策を継続する必要がある。なお、令和3年3月使用分からの料金の実質値下げに伴い、令和3年決算における経常収支比率、企業債残高対給水収益比率、料金回収率の各数値は悪化している。
老朽化の状況について
平成22年度に策定した石狩市水道施設更新計画(令和2年10月改訂)や石狩市水道事業経営戦略(令和3年3月改訂)に基づき、市内各地域の老朽化施設の更新を計画的に実施していくこととしている。有形固定資産減価償却率は、老朽化の進展により年々上昇しているが、類似団体よりは低い状況である。また、管路経年化率は平成30年度から類似団体を下回るとともに低下してきている。今後も、石狩市水道施設更新計画に基づき、計画的に施設の更新を実施していくことが必要である。
全体総括
経営状況の厳しさから平成25年3月使用分から16.7%の料金値上げを実施したが、その後の経営状況が安定しており、市民が利用しやすい水道とするため、令和3年3月使用分からの従量料金の見直しを行い、実質の値下げを実施した。給水人口の横ばい傾向や石狩湾新港地域の順調な企業活動に伴う使用水量の増加により、市全体の水需要としては微増傾向にあり、給水収益は堅調に推移してきたが、水道施設の老朽化による更新や耐震化に要する費用の増加等に加え、一般会計繰入金の減少が見込まれること、更には原油・物価高騰の影響により、経営状況は厳しさを増していくと想定される。今後も、石狩市水道事業経営戦略を定期的に見直し、計画的な経営を行い将来にわたり健全な運営を図る。