経営の健全性・効率性について
経常収支比率は100%を超えているものの、年々悪化している。平成30年度は、電気計装設備更新に伴い資産減耗費を計上したことから、一時的に収支は悪化したものの、その後状況は改善している。また流動比率も、全国平均及び類似団体平均値を上回っており、運転資金は確保できており、経営状況は良好な水準となっている。一方で、節水型水使用機器の普及等により、有効有収水量及び給水収益が年々減少傾向にある中、給水原価は、水源の約76%を受水に頼っており、残り約24%の自己水は深井戸からの取水のため施設の維持費用がかかること、職員の平均年齢が高いため職員給与費が高いこと等の事由により、全国平均及び類似団体平均値を上回っている。そのため、料金回収率は100%を確保できているものの、全国平均及び類似団体平均値を下回っている。なお、平成30年度は100%を下回っているが、上記の資産減耗費を計上したことによる、一時的なものである。施設利用率は、配水能力が拡張事業を行っていた時代に設定したものであることに加え、節水等による水需要の減少により低くなっている。有収率は、漏水等の無効水量の割合が少ないことにより、全国平均及び類似団体平均値を上回っている。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は全国平均を下回っているが、管路経年化率は全国平均及び類似団体平均値を上回っている。これは、昭和40年代後半から昭和50年代にかけて急激に管路整備を行ったことから老朽化も急激に進んでいるためである。経営への影響を考慮し、更新工事に係る費用の平準化を図っていることから、更新工事が老朽化のスピードに追いついていない。管路更新率について、更新費用の平準化の影響に加え、漏水事故等が発生した際の被害範囲等を勘案し、平成27年度から基幹管路の更新を重点的に行っている。令和元年度からは、経営戦略に基づき基幹管路に加え、配水支管の更新をしているため、全国平均及び類似団体平均値を上回っている。
全体総括
現状は、累積欠損金もなく経営に必要な費用を料金で賄えており、経営の健全性は保たれている。しかし施設の老朽化や災害対策のために更新工事の着実な推進が必要であるとともに、電気料金の高騰による動力費の増や各種の物価高の影響などにより経営状況は厳しさを増すと予測している。今後は業務改善による費用の削減のほか、国からの交付金や企業債、内部留保資金を運用しながら効率的な施設更新を行っていく。水道サービスの安定的な提供のため、令和元年度に見直した水道ビジョン及び策定した経営戦略に基づき、基幹管路の耐震化と老朽化が懸念される鋳鉄管を優先して更新・耐震化を進めていく。