経営の健全性・効率性について
新型コロナウイルス感染症支援策として、令和2年5月検針分から令和4年4月検針分まで水道料金の基本料金の5割を減額しており、令和3年度の料金回収率は減額を実施する前の令和元年度と比較すると15ポイント以上減少し、また、令和3年度の企業債残高対給水収益比率も同様に60ポイント以上増加した。水道料金の減額に対する一般会計からの繰入が全額ではなかった結果、経常収支比率は100%を下回り、類似団体平均値を約20ポイント下回った。こういった状況の中で、自己水と大阪広域水道企業団からの受水のバランスを保ちながら施設の有効活用に努めており、施設利用率及び有収率は、類似団体平均値に比べて高い水準を保っている。
老朽化の状況について
施設の更新等の必要度合いを示す有形固定資産減価償却率は、以前は類似団体平均値を上回っていたが、平成27年度から平成30年度にかけて実施した浄水場の更新事業の結果、類似団体平均値を下回っている。管路については、管路経年化率は、類似団体平均値に比べ、上昇傾向は緩やかであるが、今後も法定耐用年数を経過するものが増加するため上昇傾向が予測される。令和元年度に作成した施設整備計画に基づき、優先順位等を勘案しながら布設替工事を計画的に進めており、令和3年度の管路更新率は、令和2年度より上昇し、類似団体平均値を上回った。
全体総括
令和2年5月検針分から令和4年4月検針分まで、新型コロナウイルス感染症支援策として水道料金の減額を実施しており、令和2年度・令和3年度の給水収益は令和元年度以前に比べ大幅に減少した。令和3年度の減収に対する一般会計からの繰入金は限定的になったことから、本市では20年ぶりの赤字決算となった。今後も給水収益の減少傾向は継続する見込みであり、厳しい経営状況が見込まれるが、新型コロナウイルス感染症の影響等を見極めながら、収支均衡に向けた議論を進める必要がある。施設については、危機管理面で有効で経営的に有利な自己水を維持し、管路についても最新の材料を導入するなど老朽化対策等を実施していく。今後は、アセットマネジメントを活用しつつ、水道ビジョンや経営戦略に基づき、適正な料金の検討や計画的な施設の更新に取り組んでいく予定である。