経営の健全性・効率性について
【特記事項1】平成29年4月から旧簡易水道事業を統合【特記事項2】平成30年6月検針分の水道料金から平均28.7%の値上げを実施【特記事項3】平成30年7月豪雨災害【特記事項4】新型コロナウイルス感染症の影響とみられる配水量,有収水量,給水収益の減少(令和2年度~)①単年度収支の状況を示しており,100%以上が黒字となります。当市は100%以上であり,比較的良好と言えます。②累積欠損金はありません。③短期的な債務に対する支払能力を示しており,100%以下で不良債務が発生することになります。当市は100%以上であり,比較的良好と言えます。④給水収益に対する企業債残高の割合を示しており,明確な基準はありません。企業債の借入抑制及び償還の進展により,近年は数値の低下が続いています。⑤給水に係る費用が,水道料金で賄われる割合を示しており,100%未満で営業活動以外の収入で費用を補っていることになります。今年度は特記事項4等により給水収益が減少した結果,前年度より数値が低下しています。⑥有収水量1㎥あたり,どれだけ費用がかかっているかを示しており,明確な基準はありません。特記事項4等による有収水量の減少により,数値は前年度より増加しています。⑦一日の配水能力に対する,一日の平均配水量の割合を示しており,数値が高いほど施設が有効に利用されていることになります。特記事項4の影響も含め,近年は水需要減少による配水量の低下に伴い,数値が低くなってきています。⑧施設の稼働状況が収益に反映されているかを示しており,明確な基準はありません。特記事項3からの回復等により,特記事項1時点と同程度の数値となっていますが,前年度からは減少しています。近年,特記事項1から特記事項3により,大きく指標が変動するなか,特記事項4の影響等により経営環境は更に厳しくなることが見込まれ,引き続き経営改善を図る必要があると考えます。
老朽化の状況について
①有形固定資産のうち,償却対象資産の償却状況を示しており,100%に近いほど老朽化が進んでいることになります。平成29年度の簡易水道事業統合により,未償却残高の多い施設を所有することとなったため,類似団体よりも低い値となっていましたが,令和3年度に平均値に近い値となりました。②全体の管路に対する法定耐用年数を超えた管路の割合を示しており,高い数値ほど法定耐用年数を超えた管路を保有していることになります。当市は,類似団体と比べ,平成26年度までは低い数値で推移していましたが,約40年前の拡張期に整備した管路が法定耐用年数を超えはじめ,平成27年度以降は率が高くなってきています。③全体の管路に対する単年度で更新した管路の割合を示しており,明確な基準はありません。類似団体より低い状況が続いています。以上の指標分析から,当市は管路経年化率が高く,引き続き計画的な管路更新に取組む必要があると考えます。
全体総括
独立採算制を原則としている水道事業において,経常収支比率が100%以上となっているため,経営状況は概ね健全と言えます。しかしながら,長期的には人口減少等による水需要の減少や,短・中期的には特記事項による経営への影響(料金回収率に顕在),更には老朽化施設更新に伴う大型投資等,当市の水道事業をとりまく環境は厳しく,今後の経営状況を楽観視することはできません。特に管路更新率が低い当市にとっては,老朽管の更新整備が喫緊の課題となっていますが,一方で企業債残高対給水収益比率の高さを考慮すれば,企業債の抑制に取組む必要もあります。以上のことから,経営の健全性に配慮した計画性の高い老朽施設更新計画が重要となります。引き続き,三原市水道事業経営戦略に定める投資(更新)計画・経営方針に基づき,持続可能な水道事業経営を図っていきます。