経営の健全性・効率性について
①経常収支比率及び⑤料金回収率は、平成28年4月に平均16.62%の料金改定を行ったため、類似団体平均値まで改善したところだが、平成30年度は共に、前年度より減少している。これは、資産除却のため資産減耗費が増加したこと等で事業費用が増加となったことと併せて、給水収益が減少したためである。また、③流動比率は、期間内を通して類似団体平均値を下回っているものの、100%を超えており、すぐに資金運用に支障をきたす状態にはないと考えられる。④企業債残高対給水収益比率は、平成27年度までは類似団体平均値を上回っていたが、平成28年度の料金改定により減少に転じた。しかし、平成30年度は企業債の増加と併せて給水収益が減少したため前年度より増加した。⑥給水原価は、類似団体平均値と比較して高い水準である。これは、給水原価を構成する費用において、特に、支払利息、減価償却費及び受水費が高い水準であることが主な要因である。⑦施設使用率は、類似団体平均値と比較して高い水準であるが、それでも3割の余剰を残している。今後水需要の減少が予測される中では施設の統廃合やダウンサイジングが必要となる。⑧有収率は、類似団体平均値を下回って推移しており、漏水対策等の対応をおこなっているが、平成30年度は漏水が多く発生したため減少した。有収率の低下は、費用の増加を招き、経営状況に悪影響を与えるとともに、安定給水を脅かすことから、漏水防止のための対策を適切に行う必要がある。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は50%を超えていること、②管路経年化率は平成30年度に50%を超えていることから、施設設備の老朽化が進んでいる。この状況から、老朽管更新事業を強化し、③管路更新率は平成30年度に類似団体平均値を大きく上回っている。本市の管路は旧町村単位で運営されていた上水道事業で整備されたものを使用しており、同年代に整備されたものが多い。今後も計画的に老朽管更新事業を進めていく必要がある。
全体総括
上記の結果から、現時点の経営状況は概ね良好と言えるが、遅れている老朽管更新を計画的かつ効率的に実施していく必要があり、その財源確保の対応として、平成28年度に料金改定を行ったが、平成30年度の給水収益は前年比で減少しているため、今後も動向を注視していく必要がある。