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新型コロナウイルス禍における企業業績の落ち込み等により令和2年度から減少傾向にあった地方税収入は、令和4年度、令和5年度で上昇しているものの、一方で法人住民税は調定額・収入額とも減少し続けており、また個人住民税については調定額・収入額ともに上昇しているが徴収率が低下している。財政力指数は、令和3年度から緩やかに減少しており、類似団体平均を下回る状況が続いているが、人口減少や高齢化の進行により大きな増加が見込めない状況にある。地域手当等の職員手当や報酬の減額措置の継続だけでなく、職員採用数の見直しにより人件費の増加を抑制するとともに、更なる地方税の徴収強化等による歳入の確保により、財政基盤の強化に努める。
令和5年度の経常収支比率は、類似団体平均が2.5ポイント悪化しているが、当市においては0.1ポイント良化している。令和4年度の経常収支比率は、退職手当の増加等による人件費の増加による影響が大きかったが、令和5年度は定年延長により定年退職者が少なかったことから人件費が大幅に減少(-363百万円)しており、義務的経費は786百万円増加している。今後も、近年の物価高騰による物件費の増加や、正規職員・会計年度任用職員の処遇改善などによる人件費の増加が予想されることから、経常経費の抑制や既存事業の見直し、公共施設における統廃合の検討等により、比率の改善を図る必要があると考える。
令和5年度は、ワクチン接種事業運営委託料や予防接種委託料などの物件費の減少等が主な要因となり、前年度に比べて人口一人当たりの決算額が1,686円減少した。しかしながら、本市は学校や保育所等の公共施設数が多いことから、類似団体に比べて、人口一人当たりの金額が大きい傾向にある。公共施設の管理については、可能な部分において指定管理者制度を導入し、その他の業務についても外部委託によるコスト削減を図っているところである。公共施設における統廃合の検討等により、今後も経費の抑制を図っていく方針である。
令和5年度は定年延長により定年退職者が少なく、新規採用職員や再任用職員が増えている影響で0.2ポイント減少しており、令和3年度以降は同水準となっている。本市の行政職給料表は、7級までの給料表を適用しており、近年は職員の年齢層も若くなっていることから、国との比較で2~3ポイント程度低い水準で推移している。類似団体と比較しても低い水準で推移していることについても、同様の要因である。
保育所、こども園、高等学校及びごみ処理施設等の施設運営を直営で行っていることにより、職員数が類似団体平均と比較して多くなる基礎的な要因がある。人口減少等の影響により、年々上昇傾向となっている。公共施設の管理については、可能な部分において、指定管理者制度の導入等による委託化を進めているところであり、その他の業務についても外部委託を行うことにより、適正な定員管理に努める。
平成14年度以降に普通建設事業費の抑制を続けたことにより、元利償還金の減少傾向が続いており、比率は改善している。また、平成18年度から平成26年度に発行した退職手当債が平成29年度以降に順次償還を終えているため、令和6年度頃までは元利償還金の減少を見込んでいる。
令和5年度の将来負担比率は、前年度に比べて0.2ポイント悪化している。将来負担額のうち地方債現在高はごみ中継施設関連により249百万円増加しているが、公営企業等への繰出見込額などその他の要素は減少しており、将来負担額は99百万円の増加となっている。また充当可能財源についても275百万円増加している。今後も、ごみ関連施設の建設事業等、大規模な普通建設事業にかかる起債を予定しており、比率が上昇することが見込まれることから、今後も事業実施の適正化を図り、財政の健全化に努める。
本市は類似団体と比較して、ラスパイレス指数が低く職員数が多いという状況であるが、保育・教育関連施設を直営で行っているなど、職員数が類似団体と比較して多くなる要因を抱えている。また、令和5年度は定年延長により定年退職者が少なく、退職手当が大幅に減少(-360百万円)しており、昨年度より2.5ポイント減少、類似団体平均値との差は5.4ポイントとなった。公共施設の管理については、指定管理者制度の導入等を積極的に進めており、その他の業務についても外部委託等を行うこと等により人件費の抑制に努める。
物件費に係る経常収支比率は、物件費の金額としては低下傾向にあるものの、建物借上料、給食調理業務委託料、児童ホーム運営費の増加が起因して、令和5年度は0.9ポイント増加している。今後も物価高騰により光熱水費などの需用費が増加することよって、上昇が続くと見込まれ、更なる経費削減に努める必要がある。なお、し尿処理業務や消防業務等は一部事務組合で行っており、その業務に関係する物件費が補助費等に計上されていることなどの影響により、類似団体平均より低い比率で推移している。
扶助費に係る経常収支比率は、年度により増減するものの、基本的に、類似団体平均を少し下回る水準で推移している。生活保護給付事業や障害者自立支援事業の割合が大きく、医療扶助や利用者の増が影響しているが、令和5年度の数値上昇は非課税世帯等への生活支援給付金事業関連によるところが大きく、1,120百万円ほど増加している。今後は高齢化の進展による影響に加え、病院における受診控えが解消されたことによる医療費関連の扶助費の増加が想定される。
類似団体平均を上回っている要因として、市立の病院事業や下水道事業に対する補助金及びし尿処理業務、消防業務等を一部事務組合で行っていることが挙げられる。業務を一部事務組合で実施することは、広域化による業務の効率化及び経費の削減につながるものであり、比率の上昇については留意を要するが、広域化等の推進により経費の縮減に努めるものである。なお、0.3ポイント上昇した主な要因として、山辺・県北西部広域環境衛生組合分担金が増加したことが挙げられる。
公債費について、前年度比で0.8ポイント減少しており、元利償還額についても年々減少傾向にある。しかしながら、令和6年度から新庁舎建設事業にかかる起債の償還が本格的に始まることや、広域ごみ処理施設、ごみ中継施設建設の建設をはじめ、今後、老朽化した公共施設の大規模改修等による地方債の発行が予想されることから、令和9年度以降、比率が上昇すると見込んでいる。普通建設事業の精査による市債発行の適正化を図り、市債残高の抑制に努める。
公債費以外は例年類似団体平均と同様の増減傾向であるが、人件費・扶助費の負担が類似団体に比べて大きいことからその影響を大きく受けている。令和4年度の比率上昇は人件費・扶助費等の増加が要因と考えられ、令和5年度の比率の上昇は、物件費や扶助費等の経常収支比率の悪化が要因として考えられる。一方で、人件費の経常収支比率は昨年度よりも改善されていることから、0.7ポイント増加しているものの、類似団体平均との差は昨年度の7.8ポイント差から6.7ポイント差に減少している。今後も経費全般の節減に努める。
(増減理由)令和4年度と比較すると、財政調整基金が50百万円、その他特定目的基金が99百万円増加したことにより、基金全体では、142百万円の増加となっている。財政調整基金の増加は、歳計剰余金処分による積立てによるものである。その他特定目的基金の増加は、ふるさと大和高田応援基金の増加が主な要因となっている。(今後の方針)財政運営の安定化を図るため、引き続き計画的に基金の積み立てを行うとともに、必要に応じて基金の活用を検討していく。
(増減理由)令和5年度の基金残高は、2,387百万円となっており、前年度から50百万円の増加となっている。地方財政法の規定により、決算上生じた剰余金のうち2分の1を下らない金額について、歳計剰余金処分の方法により財政調整基金に150百万円編入したことが主な要因である。(今後の方針)経済状況の変化による収入の減少、災害の発生に伴う支出の増加などに対応し、継続して安定的な財政運営ができるよう、標準財政規模の10%程度を基金確保するよう努めるとともに、今後の多様な財政需要に対応するため、収支に不足が生じた場合には、所要の額を取り崩すこととしている。
(増減理由)令和5年度の基金残高は437百万円で、前年度から7百万円の微減となっている。過去に積み立てていた補助金(奈良県公立小中学校空調設備設置緊急支援補助金、大和川流域総合治水対策事業補助金等)について、各々の事業における公債費の元金償還のために取り崩している。(今後の方針)将来にわたる財政の健全な運営を行うため、市債の償還に必要な財源を確保するとともに、公債費が他の経費を圧迫するような場合には、取り崩してその財源に充てることとしている。
(基金の使途)ふるさと大和高田応援基金:多様な人々が参加する地方自治を推進するため、市政の新たな展開や充実を図るための施策に要する費用へ充当退職手当基金:市職員の退職手当に対して充当休日診療所基金:休日診療所の健全な運営並びに施設及び設備の整備に要する経費の財源に対して充当公共施設整備基金:公共施設の整備等に要する財源の一部に充当交通遺児就学援助等基金:交通遺児を見舞い、その就学を援助する事業の財源及び交通安全対策事業の推進に要する財源に充当(増減理由)ふるさと大和高田応援基金について、令和5年度の寄付金受入による積立額が180百万円、市内・市外施設型給付費(保育所運営費)等への充当のための取崩額が106百万円となっており、積み立てが取り崩しを上回ったため74百万円の増加となっている。なお、令和3年度から、旧葛城広域行政事務組合における診療所業務を休日診療所特別会計が引継いでおり、令和5年度については20百万円を休日診療所基金に積み立てている。(今後の方針)ふるさと大和高田応援基金については、ふるさと納税の推進による基金の充実を図るとともに、市民のニーズに合った事業へ充当することとしている。その他の基金についても、特定の財政支出に備えるため一定額を確保していくこととしている。
全体の有形固定資産減価償却率は、全国平均と比べ0.1ポイント低く、類似団体と比べて0.9ポイント高く、前年度比で1.7ポイント増加している。今後も公共施設等総合管理計画に基づき、必要性・継続性・効率性の観点から、老朽化した公共施設等の適正化に積極的に取り組んでいく必要がある。
債務償還比率は、前年度より195.1ポイント悪化し、類似団体平均と全国平均よりも高い水準となっている。主な要因は、類似団体に比べ公共施設数が多く、人件費や物件費などの経常経費が高い傾向にあることが挙げられる。債務償還比率に影響力のある公債費については昨年度より減少しているものの、今後も公共施設等の更新等による地方債の増加が想定されることから、より一層の経常経費の抑制に取り組んでいく必要がある。
有形固定資産減価償却率は類似団体平均と比べて0.9ポイント高く、将来負担比率は類似団体に比べて20.6ポイント高くなっている。次年度においては、ごみ中継施設など大型の建設事業の進行により将来負担比率の増加が見込まれている。これを勘案しながら有形固定資産の老朽化対策を進めていくためにも、公共施設等総合管理計画など各種の計画や方針に基づき、公共施設等の更新等や長寿命化において多様な観点から施設の適正化を進め、効率的な整備更新事業を進めていく必要がある。
本市は将来負担比率および実質公債費比率ともに類似団体内平均値より高くなっているものの、将来負担比率は、普通建設事業費の減少により地方債の発行額が減少するなど、前年度比13ポイント良化しており、また実質公債費比率についても償還終了による元利償還金の減少などが主な要因となり前年度比1.1ポイント良化している。今後は、退職手当債の償還終了による実質公債費比率の減少要因を見込むものの、大型の建設事業や老朽化した公共施設等の整備更新事業に伴う地方債の発行などを要因として実質公債費比率と将来負担比率の増加が見込まれることから、公共施設等の設置や規模の適正さも含めて検討を進め、公債費の適正化に取り組んでいく必要がある。