経営の健全性・効率性について
R02の経常収支と比較すると、共同住宅の建設等による加入金の増などにより総収益は増となり、更に支払利息や資産減耗費の減少などに伴い総費用が減少したことから、「経常収支比率」は、R02から5.16ポイント増の120.97%となり、依然として100%を超え健全な経営状況となっている。また、過去の設備投資に係る企業債償還が進み企業債残高は年々減少していることなどから、「企業債残高対給水収益比率」においては、R02より31.33ポイント減の314.85%となり、安定した経営状況であると考える。「給水原価」については、R02と比較すると総費用の減少率が有収水量の減少率よりも大きかったことから、0.4円減の198.23円となっており、年々減少している。類似団体より高い数値となっているが、今後も企業債完済や発行額の抑制により、更に減少していくものと考える。このことを踏まえ、「料金回収率」は、給水原価が減となったことから、R02と比較すると0.12ポイント増の99.06%となり、100%に近づいている。「施設利用率」については、R02と比較すると、一日平均配水量が減となったことから0.47ポイント減の60.63%となったが、依然として類似団体を上回っている状況である。
老朽化の状況について
中期経営計画に基づき、老朽化した管路の更新や耐震化を計画的に進めており、漏水事故等の防止、配水管等整備により水供給の安定性及び効率性の向上に努めている。このことから、「有収率」についても95%を超える高い水準を維持しており、管路更新率もR03は水道施設再編事業に伴う管路更新の推進により、R02から0.25ポイント増の0.44%となっている。また、「有形固定資産減価償却率」は、類似団体と比較すると高い水準にあるが、管路については法定耐用年数以上の更新基準年数(実耐用年数)に基づき計画的に更新していることから減価償却率が高く、今後も減価償却の増に伴い上昇していく見込みである。「管路経年化率」は、類似団体と比較して低水準で推移しているものの、更新基準年数に基づき更新していることから、今後も減価償却率と同様に上昇が見込まれる。
全体総括
今後の経営環境の課題としては、人口減少に伴う水需要の減少や、施設の老朽化に伴う費用等の増大などが見込まれる。このことから、より一層の経営の効率化、安定化を図るため、精度をもった中長期的な経営計画や財政収支見通しを立て、水道施設の再編・更新計画を推進するとともに、効率的な施設の維持管理や民間委託の活用・拡大などを図り、経費の削減に努める必要があると考える。また、今後は人口減少に伴う給水収益の減少も見込まれることから、事業の必要性や実施時期等を的確に把握した財政収支見通しを立て、水道料金や加入金の在り方についても検証していく必要がある。