経営の健全性・効率性について
「経常収支比率」は、R4と比較すると、共同住宅建設の減少等による加入金の減などにより総収益は減となった一方、減価償却期間の満了等により総費用も減少したことから、依然として100%を超え健全な経営状況となっている。また、「企業債残高対給水収益比率」は、過去の設備投資に係る企業債償還が進み企業債残高が年々減少している。R4比23.23ポイント減の260.64%となり、安定した経営状況であるといえる。「給水原価」は、年々低下しており、R4と比較すると総費用の減少により6.58円減の180.89円となっている。類似団体より高い状況であるが、今後も企業債償還が進むことや発行額の抑制により、更に低下していくものと考える。「料金回収率」は、給水原価が減となったことにより、R4比4.0ポイント増の108.59%で引き続き100%を超えており、給水に係る費用は全額給水収益で賄われている状況である。「施設利用率」は、R4と比較すると、一日平均配水量が増となったことから0.71ポイント増の60.88%となり、類似団体平均値より低いが、全国平均は上回っている状況である。今後、牛頸取水井の休止等、更なる効率化に取り組んでいく。
老朽化の状況について
中期経営計画に基づき、老朽化した管路の更新や耐震化を進め、漏水事故等の防止、配水管等整備により水供給の安定性及び効率性の向上に努めており、「有収率」は類似団体や全国平均より高い水準を維持している。「管路更新率」については、老朽化対策以上に水道施設再編事業を優先的に進めたためR4から低下したが、再編後は計画的な更新を図り、「管路経年化率」等の低水準化に向けて取り組んでいく。「有形固定資産減価償却率」は、類似団体と比較すると高い水準にあるが、管路については法定耐用年数以上の基準(実耐用年数)に基づき計画的に更新しているため減価償却率が高く、今後も減価償却の増に伴い上昇していく見込みである。
全体総括
将来的な経営環境の課題としては、人口減少に伴う水需要の減少や、施設の老朽化や管路等の耐震化に伴う費用の増大などが見込まれる。このことから、より一層の経営の効率化、安定化を図るため、精度の高い中長期的な経営計画や財政収支見通しを立て、水道施設の再編・更新計画を推進するとともに、効率的な施設の維持管理等を図り、経費の削減に努める必要があると考える。また、将来的に人口減少に伴う給水収益の減少も見込まれることから、事業の必要性や実施時期等を的確に把握した財政収支見通しを立て、水道料金や加入金の在り方についても検証していく必要がある。