経営の健全性・効率性について
各指標①から⑦における経営状態については、類似団体の平均値と比較しても良好であり、健全性が維持されていると考えられる。これは、当市が富士山麓の清流と豊富な湧水等の自然に恵まれ、おいしい水を安価に供給できる環境にあること、また、平成19年度から平成30年度までの間は借入れを行わず、企業債の未償還分を減少させてきたことなどが要因と考えられる。しかしながら収益の減少などにより、①経常収支比率及び⑤料金回収率については減少傾向にあること、また修繕費や動力費等の増加により、⑥給水原価が増加しており、今後も費用全体の増加傾向が続く見込みであるため、より一層の経営の効率化を進めていく必要がある。近年の③流動比率の増加については、令和元年度からの企業債借入の実施が主な要因であると考えられる。④企業債残高対給水収益比率の減少については、企業債の償還が進んでいることが主な要因であると考えられる。⑦施設利用率については、毎年類似団体の平均値より高い値で推移しているが、近年の配水量減少に伴い、全体的に減少傾向にある。⑧有収率については市域面積が広く管路延長も長いことから類似団体の平均値より低く、また漏水の増加などに伴い、低下している。そのため、有収率が向上するよう、今後も水道ビジョンに基づき効率的に老朽管の布設替えを行っていく予定である。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率、②管路経年化率については、類似団体の平均値を下回っているが、資産の老朽化が進んでいる状況にあることから毎年増加傾向となっている。③管路更新率については、令和2年度まで大口径の導水管布設替事業を実施していたため、更新距離が伸びず減少傾向にあったが、令和3年度は増加に転じている。今後も水道ビジョンに基づき、平準化した事業費の中で効率的に施設更新等を行っていく予定である。
全体総括
人口の減少により給水収益が減少傾向にあること、また、施設更新需要の増加が見込まれるなど、今後も水道事業の経営環境は更に厳しくなっていくことが見込まれる。重要なライフラインである水道事業を継続的に維持できるよう、水道ビジョンに基づいた効率的な事業運営を行い、安心、安全な水の供給を続けられるよう努めたい。