経営の健全性・効率性について
①経常収支は毎年度黒字を計上しており、②累積欠損金も発生しておらず、現在の経営状況は良好といえます。さらに、③流動比率は100%以上を維持しており、短期的な資金状況も良好といえます。支払利息の抑制(据置期間を設定しないことによるもの)等により費用の縮減に努めてきたため、①経常収支比率は安定して100%以上を維持しています。平成29年度については、給水収益の減収等により、⑤料金回収率は100%を下回っていましたが、平成30年度は職員数減少等による人件費等の縮減で費用の減少が顕著となったため、⑥給水原価が大幅に低下し、⑤料金回収率は100%を上回りました。令和元年度以降も引き続き人件費等を抑制できたため、⑥給水原価は低水準となり、⑤料金回収率は100%以上を維持し、さらに、大阪市との庭窪浄水場共同化を令和6年度に控えていることから、浄水施設の維持管理費用が抑制傾向となり、令和2年度以降の⑤料金回収率は類似団体平均値を上回っています。また、本市は浄水場を擁し、給水量の95%を自己水で賄っているため、これまで浄水施設の建設改良費の財源として企業債を発行(企業債残高の約2割が浄水施設に係るもの)してきました。これにより、④企業債残高対給水収益比率は類似団体平均値に比べて高い値となっていますが、起債対象事業の減少により、企業債残高はこの5年間で約12億円減少しています。⑦施設利用率と⑧有収率は、類似団体平均値を上回っており、経営の効率性を維持できているといえます。
老朽化の状況について
本市は早期(府内で3番目)に配水管を布設し給水を開始したことから、②管路経年化率は類似団体平均値に比べて高くなっています。特に、昭和51年度から55年度にかけて毎年約10kmの配水管を布設しており、これらが順次法定耐用年数を経過しているため、数値は上昇傾向にあります。これに対して、本市では、老朽管路の更新事業を主要施策として位置付け、年間施工距離約3.5kmの更新を計画的に実施しており、③管路更新率は類似団体平均値より高い値となっています。また、浄水施設についても法定耐用年数を経過したものが増加していることから、①有形固定資産減価償却率も僅かに上昇しています。
全体総括
長引くコロナ禍により水道料金収入の減少が続いているものの、費用の抑制により令和3年度は純利益を計上し、現在の経営状況は概ね良好であるといえます。しかし、今後も給水収益の減少が見込まれる中、配水管等の水道施設の更新事業を実施していく必要があり、事業経営は年々厳しさを増すことが予測されます。一方、令和6年度からの大阪市との浄水場共同化を推進することにより、40年間の浄水施設の更新事業費を大幅に縮減できる見込みです。また、老朽管路の更新事業については、令和10年度までに基幹管路の耐震化率を50%以上とすることを目標として計画的に実施します。なお、経営戦略の計画期間(令和元年度から10年度まで)における試算では、水道料金の改定を実施することなく経営を維持できる見込みです。