経営の健全性・効率性について
収益性については、①経常収支比率は100%を上回っているものの、昨年に引き続き、給水収益の減少により類似団体平均値を下回った。②累積欠損比率は、類似団体平均値が4年振りに増加している中、本市は0%を維持できていた。⑤料金回収率は、令和3年度に実施した新型コロナウイルス感染症対策の一環としての水道料金の減免事業、及び大口使用者の使用水量の減少による影響で給水収益が減少したことにより7.91ポイント減となり、100%を下回った。⑥給水原価は設備更新工事による減価償却費が増加傾向にあるため、類似団体平均値を上回る状況が続いている。財政状態については、③流動比率は平成29年度より類似団体平均値を下回っているものの、100%を超える状況が続いていることから、1年以内に支払うべき債務に対して支払うことができる現金等を十分に保有している状況である。一方で、④企業債残高対給水収益比率については、施設整備計画に沿って施設を更新している中、施設の整備に係る企業債の発行額が多いため、類似団体平均値を大きく上回っている。施設の活用については、水需要の減少により⑦施設利用率が類似団体平均値と比べて低い状況が続いている。一方、⑧有収率は漏水対策の強化により改善傾向にあり、施設の稼働は概ね収益に反映されていると考えられる。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は微増傾向で、依然、類似団体平均値と比較すると少し高い水準にある。特に管路について、②管路経年化率も年々増加しており、類似団体平均値を大きく上回っているが、これは早期に管路を整備したことによるものである。なお、管路については施設整備計画に基づき毎年約4km更新していることから、③管路更新率は概ね1%前後で推移している。
全体総括
現在、施設整備計画により、管路の更新(実態に即した耐用年数をもとに、昭和45年以前の管路を老朽管として位置付け、毎年4km更新)を行っている。令和3年度は上記に加え、取水施設の設備更新等を実施した。これらの現状や将来の水需要の減少、老朽化施設の更新需要の増加を鑑み、将来にわたり水道事業を持続可能なものにするために業務の委託や設備更新に取り組んでいる。しかし今後は、施設の維持管理費を含む経費の削減等、さらなるコストカットを行うとともに、老朽化した施設の更新についても重要度・優先度を考慮して着実に実施していく必要がある。令和4年度には、平成29年度に策定した経営戦略を改定し、中長期的な視点で将来を見据えた効率的な事業運営を行っていく。