経営の健全性・効率性について
収益性については、平成26年1月の下水道使用料改定及び終末処理場の維持管理費用の削減により、①経常収支比率は100%を上回って推移しているものの、0.79ポイント減となり、類似団体平均値を下回った。⑤経費回収率は、令和3年度に実施した新型コロナウイルス感染症対策の一環としての下水道使用料の減免事業、及び大口使用者の使用水量の減少による影響で使用料収入が減少し15.1ポイント減となり、100%を下回ったため、適正な使用料収入の確保及び汚水処理費の削減が必要な状況である。また②累積欠損金比率は類似団体平均値を大きく上回っている。令和元年度までは使用料改定及び終末処理場の維持管理費用の削減により減少傾向にあったが、令和3年度は昨年度に引き続き下水道使用料の減により増加に転じた。⑥汚水処理原価については、類似団体平均値を下回っている。これは、早期から下水道整備に取り組んだことにより、整備に係るコストが安価であったこと、また、耐用年数を超過した施設が増加していることなどが要因である。財政状態については、③流動比率が100%を上回っていることから、1年以内に支払うべき債務に対して支払うことができる現金等を十分に保有している状況にある。また、④企業債残高対事業規模比率は、下水道の早期整備により令和2年度までは類似団体平均値を下回っていたが、令和3年度は企業債残高の増に対し営業収益が減少したため、類似団体平均値を上回った。施設の活用については、⑦施設利用率が平成26~令和3年度まで横ばいで推移している。⑧水洗化率は99.94%であり、概ね100%を達成している。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率については、類似団体平均値と比較を大きく上回っている。これは、終末処理場施設更新などを行っているが、下水道の早期整備により、法定耐用年数に近い、また法定耐用年数を超えた資産が増加していることにより、微増傾向にあると考えられる。②管渠老朽化率については年々増加しており、令和3年度においては35.18%に達し、類似団体平均値を大きく上回っている。③管渠改善率については令和2年度よりストックマネジメント計画に基づいた更新事業を行っており、今後増加傾向が続くことが予想される。
全体総括
平成26年1月の下水道使用料の改定や下水処理施設の維持管理費用の削減により、経常収支比率及び経費回収率は一旦改善したものの、経費回収率については令和3年度に再び減少傾向に転じ、累積欠損金についても依然解消されていないという現状がある。今後は平成29年度に策定し、令和4年度に改定を行う経営戦略に基づき、中長期的な視点で将来を見据え、人件費を含む維持管理費の削減等、経営の健全化を図っていく必要がある。更新については、ストックマネジメント計画(令和2~6年度)に基づき、緊急度の高い箇所から、計画的・効率的に行っていく。耐震化については、総合地震対策計画(令和2~6年度)に基づき、計画的に進めていく。