経営の健全性・効率性について
自己資本構成比率が高いこと、経常収益と経常費用を対比した経常収支比率や供給単価と給水原価を対比した料金回収率が100%を超えていること、また、累積欠損金が発生していないこと、企業債残高が年々減少していることから、収支均衡が保たれており、経営の健全性が確保されていると判断できます。料金回収率が15ポイント以上回復している点については、令和2年度に新型コロナウイルス感染症対策の支援として水道料金のうち基本料金を4か月間免除したことから給水収益が一時的に減少した分の回復と見て取れます。施設については、季節変動等を考慮しつつ、余裕を持った運用を図っています。有収率は、やや低下傾向が見られますが、平成29年度以前が80%台で推移していたのに対して90%前後を保ち、類似団体平均値や令和3年度全国平均と同水準の値を確保できています。
老朽化の状況について
各務原市水道事業では、技術的見地や経験から、水道管路の平均更新年数を60年と考えています。このため、法定耐用年数40年に基づく有形固定資産減価償却率や管路経年化率は上昇傾向にあり、今後も上昇が見込まれます。また、更新サイクルを60年としているため、年間の管路更新率は1.66%を目安としていますが、令和3年度については、日本水道協会品質認証の不正取得による管材の出荷停止に伴う工事の中断があり年度繰越が生じたことにより減少しています。
全体総括
平成29年度に策定した経営戦略について、令和3年度に残りの5年間の収支について検討したところ、現行の水道料金体系での収益により、管路、施設の更新、改修等、適正な投資が行える計画となりました。令和3年度決算の数値からも、収益性や財政の健全性は良好であり、安定的な経営が維持されていることが読み取れます。今後も人口動態やライフスタイルの変化により使用水量の減少が見込まれることから、経営戦略等の中長期的な計画により収支均衡に努めるとともに、管路、施設の適正な規模を検討しつつ、更新等の必要な投資に着実に取り組むことで、健全で安定した事業経営を継続的に進めてまいります。