経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、新型コロナウイルス感染防止のため自粛されていた社会経済活動が徐々に再開されたことにより、給水収益及び給水申込納付金が増加したことに加え、水道事業の運営効率化と経営健全化を重視した取組により、費用の削減・縮減を図ったことで100%を超えております。なお、累積欠損は生じておりません。流動比率は、依然として100%を上回っており、支払能力が高い状態であることを示しています。企業債残高対給水収益比率は、経営戦略による整備計画に基づき、新規借入を行わなかったことにより減少しています。なお、新型コロナウイルスによる経済負担の軽減策として、基本料金を2か月分免除したことで給水収益が減少しており、減免分を考慮すると31.73%とさらに減少します。料金回収率は、給水収益の増加による供給単価の上昇に伴い、前年度より上昇しています。さらに令和2年度に引き続き行った減免分を給水収益に考慮すると平均値を上回る110.27%となります。給水原価は、年間有収水量が減少したため、増加しました。有収率については、前年度より改善し、施設の効率的な稼働状況が収益に結びついているといえます。以上のとおり、現在の経営状況は高い健全性を示していますが、人口減少に伴う給水収益の減少や自然災害に対するリスク対応、増大する更新需要を満たすために戦略的な経営を進める必要があります。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率の上昇は、水道施設全体において経年による保有資産の老朽化が進んでいることを示しています。管路経年化率は、平均値を上回り、今後も法定耐用年数を経過する管路は増加することが想定され、老朽管の更新が引き続き課題となっています。管路更新率は、平均値より低くなっていますが、実態に即した管路の使用可能年数を考慮し、限られた予算の中で計画的に更新事業を進めております。投資額に対する財源確保が懸念される中ではありますが、経営バランスを考慮しつつ、新たに令和4年度に策定する管路更新計画に基づき事業を進めてまいります。
全体総括
現段階では経営状態は高い健全性を示していますが、人口減少や節水意識や生活スタイルの変化により給水収益の増加が見込めない中で、管路及び施設の老朽化に伴う更新投資は増加速度が加速しており、さらに新型コロナウイルス感染症の再拡大や世界的な物価高騰、自然災害への対応など、経営環境は極めて厳しいものとなっています。こうした中で、企業全体の経営バランスを常に意識し、独立採算制の原則である給水収益による黒字経営を維持できるよう努めることが極めて重要となっております。必要な水を、必要なとき、必要な量を安定的に供給すべく、管路及び施設のリスク管理や老朽化対策に重点を置いた経営を戦略的に進めてまいります。