経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、新型コロナウイルス感染症の第5類への移行に伴い外出機会が増加したことなどにより、家庭用使用水量が減少したものの、給水申込金が増加となったことから、全体として経常収益は微減にとどまり、前年度と同水準を維持しました。また、前年度に引き続き水道事業の運営効率化と経営健全化を重視した取組により、費用の削減・縮減を図ったことで100%を超えております。なお、累積欠損は生じておりません。流動比率は、1,000%を上回っており、支払能力が高い状態であることを示しています。企業債残高対給水収益比率は、経営戦略による整備計画に基づき、新規借入を行わなかったことにより減少しています。なお、物価高騰による経済負担の軽減策として、基本料金を2か月分免除したことで給水収益が減少しており、免除分を考慮すると13.08%とさらに減少します。料金回収率は、100%を下回っていますが、基本料金の免除額を給水収益に考慮すると平均値を上回る106.31%となります。有収率については、前年度を下回りましたが、平均値は上回っています。引き続有収率向上対策を実施してまいります。以上のとおり、経常収支比率等の指標によれば現在の経営状況は健全性を保っていますが、人口減少に伴う給水収益の減少や自然災害に対するリスク対応、増大する更新需要を満たすために戦略的な経営を進める必要があります。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率の上昇は、水道施設全体において経年による保有資産の老朽化が進んでいることを示しています。管路経年化率は、平均値を下回っていますが、今後も法定耐用年数を経過する管路は増加することが想定され、老朽管の更新が引き続き課題となっています。管路更新率は、平均値を下回っていますが、令和4年度に策定した管路更新計画に基づいた更新工事を実施した結果、前年度より改善しております。投資額に対する財源確保が懸念される中ではありますが、経営バランスを考慮しつつ、計画的に更新事業を進めてまいります。
全体総括
経常収支比率等の指標によれば、現段階では経営状態は健全性を保っていますが、人口減少や節水機器の普及により給水収益の増加が見込めない中で、管路及び施設の老朽化に伴う更新需要の増加や国際情勢変化に伴う物価高騰、自然災害への対策が求められ、経営環境は極めて厳しいものとなっています。変化する社会経済情勢での戦略的な経営を進めるべく、令和6年度に、水道事業の基本計画及び経営戦略である「未来構想水道ビジョン野田(経営戦略)」の見直しをすすめてまいります。今後は、新しい計画のもとで独立採算制の原則である給水収益による黒字経営を維持し、確実に利益を確保しつつ、災害等に備えた管路及び施設の老朽化対策等への投資を積極的に進めてまいります。