経営の健全性・効率性について
当水道部は房総半島の中央に位置し、水源を利根川水系とする用水供給団体から受水していることから、受水費は他の団体と比較し高額となり、給水に係る費用を水道料金による収入で賄うことができず、料金回収率が84%となり、全国平均、類似団体平均値を下回る状況である。行政区域内人口の減少や、節水機器等の普及により使用水量が落ち込んでいることから、平成9年をピークに給水収益が減少傾向にあるため、千葉県や構成市町村からの高料金対策による補助金・負担金等により経常収支の均衡を保っている状況である。また、既設水道を統合して給水を開始したことにより、老朽化した水道施設が多く存在しているため、建設改良事業に係る費用を企業債の借入に依存していることから、企業債残高対給水収益比率は類似団体平均値を大きく上回っている。併せて、給水区域に農村部を多く抱えていることから、配水管布設延長に対し配水量が少なく、施設利用率が類似団体平均値を下回っていることに加え、老朽化した配水管からの無効水量(漏水量)が多く、経営の効率性を損なうこととなっている。
老朽化の状況について
昭和55年に既設水道事業を統合して給水を開始したことから、老朽化した施設が多く存在しているため、有形固定資産減価償却率や管路経年化率が類似団体平均値を大きく上回っている。管路に関しては、漏水事故の多い既設水道事業時代に埋設された塩化ビニル管等の更新事業や、耐震化に併せた経年管路の更新事業を主要施策とし、年間約8kmの更新工事を実施している。また、浄水場などの水道施設についても既設水道事業時代の施設を修繕して使用しているため、大規模な改修工事が必要となっている。
全体総括
類似団体の平均を下回る有収率の向上が急務であることから、継続的な漏水調査の実施や、老朽化した管路の更新工事を実施する予定である。また、施設利用率が低迷する中で、優先順位や効率性を考慮し、水道施設の統廃合等のダウンサイジングを含めた再構築を検討している。建設改良工事の計画的な実施や、経費の一層の削減、適正な料金改定の検討など、健全経営に向けて引き続き経営改善に取り組む必要がある。今後、千葉県が示す方針に沿い、九十九里地域の末端給水事業体統合の検討を進め、経営資源の有効活用や経済効果を最大限発揮できるよう取り組んでいきたいと考える。