経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、類似団体平均値よりも低い水準となっていますが、100%を上回っているため、概ね健全な経営状況にあるといえます。対前年度比較では2.2P増となっていますが、この主な要因は、経常収益(水道料金収入等)が対前年度比較で2.2P増したことによるものです。②累積欠損金比率は、0%であり累積欠損金が発生しておらず、経営状況は健全であるといえます。③流動比率は、類似団体平均値よりも低い水準となっていますが、100%を大きく上回っているため、支払能力に問題はないものといえます。④企業債残高対給水収益比率は、料金水準や企業債の借入状況によって変動しますが、類似団体平均値よりも低い水準であり、健全な経営状況にあるといえます。⑤料金回収率は、類似団体平均値よりも低い水準となっており、100%を下回っていることから、必要な経費を給水収益で賄えていないといえます。対前年度比較では1.5P減となっていますが、この主な要因は、対前年度比較で、供給単価が減したことによります。⑥給水原価は、類似団体平均値よりも低い水準となっています。対前年度比較では、1.4円の減となっていますが、この主な要因は、経費の増に比して有収水量が増になったことによるものです。⑦施設利用率は、類似団体平均値よりもやや低い水準となっていますが、対前年度比較では1.4P増となりました。これはコロナ禍の影響により本市の特性(観光人口の減)が表われたものです。今後も特性をふまえて施設を有効に利用する必要があります。⑧有収率は、類似団体平均値よりも低い水準ですが、本市は経年管が多く、また高地区と低地区の高低差が約300mあることや、水道管と温泉管の併設等の特性があることが要因と考えられます。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、類似団体平均値よりも高い水準となり、年々比率が上昇傾向にあります。今後も、計画に基づいた更新を行っていく必要があります。②管路経年化率は、類似団体平均値よりも高い水準となっており、これは本市の上水道が大正6年に給水を開始して以来100年が経過しているため、法定耐用年数を経過した管路が多く存在することが要因と考えられます。今後も、計画に基づいた着実な更新が必要であると考えます。③管路更新率は、類似団体平均値よりも低い水準となっています。信頼性確保のため優先度を見極めながら着実な更新が必要であると考えます。
全体総括
本市では、財務の安全性、収益性及び施設の効率性につきましては、概ね良好と判断しています。しかし、水道料金収入が減少傾向にあるなか、設備の老朽化による更新需要が増大しており、厳しい財政状況が予想されます。今後も計画に基づいた設備投資と、更なる効率的な事業運営を行っていく必要があると考えます。また将来にわたって安定的に事業を継続していくための経営戦略に基づき、アセットマネジメントを活用しながら、十分に分析検証を行い、対策を講じなければならないと考えます。