経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、給水収益が減少(前年比△約4,404万円)したものの、前年度に発生した配水場支障移転事業に係る費用及び負担金の収入が無くなったことにより、前年度比0.75ポイント上昇しました。今後も給水収益の改善を中心に取り組み、100%以上の数値を維持するように努める必要があります。③流動比率は、年度末時点での未払金が減少したことにより上昇しました。流動資産の内、96.7%が現預金であり、有事の際に備えた現預金が保有できています。④企業債残高対給水収益比率は、新規の借入れをしていないことから、毎期減少しており、類似団体平均と比較して良好な値を継続しています。⑤料金回収率、⑥給水原価は、上記①の一時的な費用増加が落ち着き、類似団体平均よりも良好な値に戻りました。給水に係る費用を抑えた上で、適切な料金回収ができていることを示しています。⑦施設利用率は、類似団体平均よりも良好な値で推移しており、限られた施設を効率的に活用できていると言えます。⑧有収率は、水質管理のために定期放水を行っていた浄水場を、令和2年12月1日に休止したことにより、定期放水量が減少し、有収率が前年度比2.53ポイント上昇しました。今後も計画的な管路更新や、漏水調査等による漏水対策を行うことで、有収率の向上に努める必要があります。
老朽化の状況について
管路総延長約760kmのうち高級鋳鉄管及び塩ビ管等老朽管は平成13年度末時点で約130㎞ありましたが、現在は約36㎞になっています。令和3年度において、③管路更新率は、他工事との工程調整等による布設替工事の次年度繰越により、前年度比0.09ポイント減少しています。近年は、毎年40年を経過するダクタイル鋳鉄管(A形)が更新延長を上回る傾向にあるため、②管路経年化率は毎年上昇しています。しかし、ダクタイル鋳鉄管の更新基準年数は一般的に40年以上に設定されていることから、実際の老朽化率はこれほど上昇していないものと判断します。①有形固定資産減価償却率は②管路経年化率の増加に伴って、年々増加傾向にあります。
全体総括
「1.経営の健全性・効率性」の各指標は、⑧有収率を除くと、類似団体平均よりも良好で、概ね健全な経営ができています。ただし、人口減少や節水機器の普及による給水収益の減少は、今後も継続が見込まれ、より厳しくなる事業環境において、愛知県が連携を推進する近隣事業体との広域化(事業統合)も含め、徹底した経営の効率化が求められます。「2.老朽化の状況」は、類似団体平均と同様に推移しており、年々老朽化が進んでいます。③管路更新率の向上は、老朽化に歯止めをかけるだけでなく、上記の⑧有収率の向上にも繋がるため、水道事業経営戦略(平成30年度策定、令和5年度見直し予定)でも経営目標に掲げており、今後も重点的に取り組んでいくものです。