経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、令和2年度に比べて減少している。これは主に給水収益の減少によるものである。②累積欠損金比率は、存在していない。③流動比率は、前年度比で減少している。これ、年度末に支払予定であった工事費用が未払金に計上されたことによる。④企業債残高対給水収益比率は、給水収益の約5倍の企業債残高があることを示し、類似団体や全国平均より高くなっている。⑤料金回収率は前年度と同程度である。⑥給水原価は、1㎥当たり120円台で推移しており、全国平均や類似団体と比べて低い。⑦施設利用率は、令和3年度は前年度より微増となり、全国平均や類似団体平均より高い。⑧有収率は、年度ごとに増減があるが全般的には低下傾向にある。令和3年度は前年度比で減少となっている。経営の健全性・効率性は、①~⑦の指標からは比較的良い状態を保てているが、⑧の指標ではやや低い状況にあると分析される。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、令和3年度は全国平均や類似団体を上回る約54%であり、水道施設全体の平均が耐用年数の半分以上の期間を経過したことを示している。経年比較は類似団体と同様に上昇傾向にある。②管路経年化率は、平成10年度から平成22年度にかけて石綿セメント管を集中的に更新したことにより、全国平均や類似団体を下回っている。しかし、主に塩ビ管の耐用年数超過が増加し始めたことから、経年比較は類似団体と同様に上昇傾向である。③管路更新率は、令和3年度は前年度より低下し、国平均や類似団体に比べても低い。これは施設更新や紫外線照射装置の整備を優先させたためであり、更新計画に基づいて実施しているものである。
全体総括
比較的安定した経営を継続できていると捉えているが、令和3年度については、主に給水収益の減少により経常利益が減少している。また、有収率の低下と管路経年化比率の上昇については、抑制することが課題である。今後も引き続き、有収率向上のための効果的な漏水調査や、老朽管更新工事等の計画的な実施が重要である。