経営の健全性・効率性について
令和3年度の水道事業は、引き続き健全経営が維持されていると判断している。経常収支比率は前年度に続き100%を超え、単年度の収支が黒字の状態にある。累積欠損金は発生しておらず、流動比率は300%を超え、1年以内の債務に対して支払うことのできる現金等が十分にある。給水収益に対する企業債残高の割合は償還が進み減少してきている。料金回収率は100%を上回っており、給水に係る費用を給水収益で賄えている。水道メータの減価償却費等増加している費用もあり、今後も給水収益だけで給水に係る費用を賄うためには更なる費用の節減が必要となる。給水原価は従来から類似団体に比べ高い状況にある。寒冷地対策で水道管を地中深く埋設する必要があるため建設費用が割高となる。また、水源が河川の下流にあり、浄水のために薬品費がかかる。施設利用率については、宅地開発による給水戸数の増加もあり、施設の配水能力に対する配水量の割合は高い水準を維持している。有収率は高い水準を維持しており、水道施設を通して供給される水量が着実に収益に結びついている。
老朽化の状況について
令和3年度の有形固定資産減価償却率は、52.65%となっており、保有する有形固定資産の半分以上が法定耐用年数に近づいていると分析できる。数値は類似団体や全国平均と比べて若干高く、施設の老朽化が比較的進行している状況を表している。管路経年化率に関しては、昭和40年代に布設された大麻団地の管を既に更新していることにより、5.03%と類似団体に比べて低い数値となっている。一方、昭和50年代に布設された管も多くあり、耐用年数を迎えつつある。管路更新率0.62%では全ての管路を更新するのに100年以上かかることから、各年度の事業費を平準化しながら、計画的に更新していく。
全体総括
水道事業は現時点では健全な経営状態にある。令和3年度は宅地開発により給水戸数が増加したものの、給水人口は減少し有収水量も減少した。節水機器の普及等により1人あたりの使用量は減る傾向にあり、今後の人口減少も考慮すると、有収水量は減り給水収益も減収していくと予測している。また、今後は大量の管路が更新時期を迎え、その先には大規模施設の更新も控えており、楽観視できる状況にない。今後も、令和元年度から10年間を計画期間とする上下水道ビジョンにおける長期的な収支見通しに基づき、引き続き効率化等により費用の圧縮を図るとともに、料金収入と企業債の借入との適切なバランスを取りながら、健全経営を維持していく。