経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、類似団体平均値を上回っており、望ましいとされている100%以上を維持しています。なお、本年度は、給水収益等の経常収益がほぼ横ばいであったものの、経常費用が水道ビジョン策定費や料金システム更新費で減となったことにより、経常収支比率は、前年度比で4.77ポイントの増となっています。②累積欠損金比率はゼロで推移しており、経営の健全性は確保できています。③流動比率は、類似団体平均値を上回る水準を維持しており、短期的な債務に対する支払い能力は確保できています。なお、本年度は、建設改良費に係る未払金が減となったことにより、前年度比で227.64ポイントの増となっています。④企業債残高対給水収益比率は、地方債発行の抑制に努めていることから、類似団体平均値と比較して極めて低い水準を維持しています。⑤料金回収率は、類似団体平均値を上回っており、望ましいとされている100%以上を維持しています。なお、本年度は、前年度に新型コロナウイルス対策として実施した水道料金の減免措置の影響による供給単価の増(前年度比7.35円増)により、前年度比で7.78ポイントの増となっています。⑥給水原価は、有収水量がほぼ横ばいであったものの、水道ビジョン策定費や料金システム更新費が減となったことから、前年度比で3.36ポイントの減となっています。⑦施設利用率は、類似団体平均値を12ポイント~28ポイント上回る高い水準を維持しており、適切な施設規模による効率的な運営ができています。⑧有収率は、定期的な漏水調査と漏水箇所の適宜修繕等により、類似団体平均値を7ポイント~9ポイント上回る水準を維持しています。
老朽化の状況について
②管路経年化率は、昭和34年の供用開始期に布設した管路が比較的多く残っていることから、類似団体平均値を16ポイント~27ポイント上回る高い水準で推移しているものの、その差は年々縮小してきており、また、定期的な漏水調査と漏水箇所の適宜修繕等により、現時点では良好な給水を確保できています。なお、平成25年度に策定した水道管路更新計画(計画期間:平成26年度~令和5年度)及び実施計画(計画期間:令和3年度~令和5年度)に基づき、管路の更新や耐震化を実施しています。③管路更新率は、下水道事業における整備箇所等を勘案したうえで、より効率的な事業実施が可能となるよう計画期間内での事業実施時期等の見直しを行っていることから、各年度における数値の変動は比較的大きくなる傾向があります。なお、本年度は、配水管布設替工事に係る施工延長が減少したことにより、前年度比で0.43ポイントの減となっています。
全体総括
経営面では、類似団体平均値との比較から、現時点では一定の健全性・効率性を確保できていますが、給水収益の横ばい傾向が依然として続いていることから、今後必要とされる水道施設の更新や耐震化の実施状況によっては、将来的には厳しい経営環境に直面することが予想されます。このため、水道施設の更新等に際しては、水道事業財政計画(計画期間:令和4年度~令和7年度)との整合を図りつつ、収益規模など直近の経営状況を十分に勘案したうえで取り組むこととし、今後も安定的にサービスを提供し続けることができるよう、徹底した経営の健全化・効率化に努めます。また、喫緊の課題である管路の更新等については、水道管路更新計画及び実施計画に基づき、非耐震管や布設後50年以上が経過した管路を最優先に整備を進めます。なお、本町水道事業の将来像とその実現のための施策目標や施策方針をまとめた「島本町水道事業ビジョン」を令和2年度に策定したところであり、今後、各種計画との整合を図りながら、毎年度の進捗管理を行うとともに、定期的な検証・見直しを行い、着実に水道事業ビジョンを推進します。