経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、単年度の収支が黒字であることを示すを100%を上回っており、累積欠損金も生じていないことから本市の経営状況は健全な水準にあります。企業債残高対給水収益比率については、類似団体平均を上回っていますが、自己資本構成比率は75%を超える数値で推移しており、企業債に対する依存度は低いものと考えられます。料金回収率は100%を上回っており、経営に必要な経費を料金で賄うことができています。なお、平成26年度の流動比率の悪化は、地方公営企業会計制度見直しによる引当金計上及び企業債の負債への移行のためであり、平成26年度の給水原価の低下は、地方公営企業会計制度見直しにより、給水原価算出費用合計から長期前受金戻入が控除されることとなったためです。施設利用率は、類似団体平均を下回っています。給水人口の減少等により水需要は減少傾向にありますが、本市は観光を中心とした第3次産業が主要産業であるため、水需要が増大する行楽シーズン等への対応を考慮したうえで、施設規模を検討していく必要があります。有収率については、全国平均や類似団体平均と比較すると低い水準にあります。主な原因は漏水であると考えられるため、漏水調査及び老朽管更新の計画的な実施により、漏水防止対策に努める必要があります。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率については、全国平均や類似団体の平均を若干下回っており、施設の老朽化の状況は他の事業体とほぼ同様の状況であると考えられます。施設の老朽度合を注視し、老朽施設の更新に向けて財源の確保等を検討していく必要があります。管路経年化率については、全国平均や類似団体の平均を上回っており、他の事業体と比べ管路の老朽度合が高いことが有収率の低下につながっていると考えられるため、計画的な老朽管更新の実施が必要となります。
全体総括
本市の経営状況は、累積欠損金がなく、経常収支比率、料金回収率ともに100%を超えており、経営の健全性は確保されています。しかし、有収率や管路経年化率、施設利用率は全国平均や類似団体平均より低い水準にあります。給水人口の減少等により、給水収益の減少が見込まれる中、より効率的な事業運営のために、経常経費や企業債残高の削減に努めるとともに、管路や施設の更新、施設規模の見直し等を計画的に推進していく必要があります。