南砺市：簡易水道事業（法適用）

経営の健全性・効率性について

①H22年度に水道料金を1㎥あたり10円値下げしたことにより、それまで単年度で黒字だった収支が赤字に転じ、その影響がずっと続いている。②累積欠損金も毎年増えている。③現在は短期的な債務に対する支払能力はあるが、今後企業債が増える方向にあり、流動資産の現金も減少傾向になることから、流動比率は下がっていくと見られる。④今のところ類似団体平均値より低い比率となっているが、今後も企業債を借りて高度浄水処理施設整備事業等を行っていく予定なので、企業債残高は増え、給水収益は減少するという傾向が続くと思われる。⑤給水に係る費用が給水収益以外の費用で賄われているため、適切な料金収入が必要であると考えられる。⑥有収水量1㎥あたり、184.74円かかっている。類似団体からみても高めである。⑦全国平均並みである。⑧有収率は徐々に高くなってきているとは言え、まだ80%である。全国平均からみても10ポイントも低い。ここ数年間は漏水調査委託料として10,000千円以上を計上しているが、これといった原因を特定できないでいる。こちらの漏水をなおせば、またあちらで漏水といったことの繰り返しであり、どうすれば費用対効果があげられるのか重要な課題となっている。

老朽化の状況について

①類似団体や全国平均より高めで、保有資産が他の団体より法定耐用年数に近づいていることを示している。③管路更新が必要な割には、類似団体より更新ペースが遅いことがわかる。管路の更新投資を増やすため、財源確保や経営に与える影響を分析する必要がある。

全体総括

H22年度からの累積欠損金の増加をみても、料金回収率をみても、早急に料金の見直しを検討する必要があると思われる。また、施設利用率が高くても有収率が低水準であるため、収益につながっていないことがわかる。漏水箇所の発見と修繕が急務である。老朽化の状況からは、有形固定資産減価償却率が高く管路更新率が低いため、管路の更新投資を増やす必要があると思われる。一方、水質安全対策のための事業費も必要なため、老朽化対策と投資のあり方についての検討が必要であると思われる。