経営の健全性・効率性について
・公営企業新会計基準適用による影響等についてH26年度以降は新会計基準の適用に伴い、営業外収益に「長期前受金戻入」が、流動負債に「企業債」及び「引当金」の当年度支払予定額が計上されたことにより、グラフ①③⑤⑥の数値が大きく変動している。H25年度以前の計算方法に基づく数値は、①経常収支比率103.00、③流動比率1,076.05、⑤料金回収率100.27、⑥給水原価229.31となる。また、⑦施設利用率の変動は、一日配水能力の条例値を変更したことによるもので、H25年度までの条例値により計算すると、34.6となる。以下、前年度までとの比較のため、旧基準の数値により分析を行う。・経営の健全性について①経常収支比率より、数値は年を追うごとに悪化の傾向が見られるが、単年度黒字は維持されている。⑤料金回収率より、給水にかかる費用と給水収益がほぼ均衡している状態である。③流動比率、④企業債残高対給水収益比率とも、類似団体平均に近い値であり、全体として見ると、現在のところ水道事業は安定的に運営されている。・経営の効率性について⑥給水原価は類似団体平均よりも高く、⑦施設利用率は類似団体平均より大幅に低い状態であり、給水量の減少に、費用縮減および施設規模の適正化が追い付いていない状況である。⑧有収率については、配水管布設替えや漏水調査によって、全国平均、類似団体平均に比べて高い水準が維持されている。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率より、水道施設を全体としてみると耐用年数の半分程度まで経過している資産が多く、類似団体平均と同様の傾向となっているが、各水道施設をその担っている機能別に見てみると、老朽化の進行具合はばらつきがある。②管路経年化率より、配水管については更新が計画的に行われてきたことから経年管が約1割と、類似団体平均よりも低く維持されている。特に石綿管については線路下など施工困難箇所を除き99%以上の更新が完了している。一方、本城浄水場をはじめとする浄水施設の更新についてはほぼ未着手の状態であり、老朽化が著しく進行している。以上より、配水管の更新は比較的順調に進捗してきたことから、H27年度以降は浄水施設の更新に重点をシフトしていく予定である。
全体総括
銚子市においては今後も人口減、およびそれに伴う給水収益の減少が見込まれる一方、老朽化施設の更新需要は高まる傾向にある。このような中、水道事業の継続的運営や施設更新費用の確保のためには、さらなる経営効率化や費用の縮減に努めるとともに将来的には、より適正な料金水準、料金体系への移行が避けられない状況である。また、本市水道課では東総広域水道企業団からの用水供給を受けており、今後は徐々に受水の割合を増やしていく方向で調整している。そのため、それらの計画も考慮した、受水のための施設整備、および本城浄水場の更新が今後の主な課題となってくるものである。