経営の健全性・効率性について
①収支は黒字ですが、この5年間で、経常収益は水道料金収入、加入分担金収入が減少し、経常費用は動力費や委託料が増加しています。③平成26年度は会計制度の改正により大きく減少していますが、指標値は100%を超えており、必要な資金は確保されています。④内部留保資金により新設、更新工事を実施してきましたが、平成26年度より企業債を活用して更新工事を実施しているため、今後、比率の増加が予想されます。⑤⑥料金回収率は、会計制度の改正前後で比率に影響が出ないよう、資産取得財源の減価償却見合い分である長期前受金戻入分を控除する算出式になっています。水道施設を受贈されたり、寄附金等を財源に取得したりした資産については、施設の更新時に同様のことは見込めず、水道料金等自己資金で更新することが見込まれます。この観点から、料金回収率を長期前受金戻入分を控除しない独自の方式で算出し直すと、料金回収率は95.83%となり、水道料金収入で給水に係る費用が賄われていないと考えることもできます。⑦指標値は全国平均、類似団体平均を上回り、施設を効率的に利用していると判断できます。⑧有収率は、全国平均、類似団体平均を上回っています。漏水調査の実施、市民の方々からの漏水箇所の通報による漏水修繕の効果が出ているものと思われます。
老朽化の状況について
①水道事業は、昭和46年に給水を開始し、43年経過しています。管路等の水道施設が法定耐用年数を超え始めるなど、水道施設の経年化が進んでいます。アセットマネジメントを活用し、施設の更新計画を見直します。②③管路経年化率は、平成26年度に比率が上昇しています。これは、1970年代から80年代にかけて急速に進んだ水道拡張事業に伴い布設された管路が、法定耐用年数を超え始めたことによるものです。平成26年度から企業債を借り入れ、施設の更新工事を行っていますが、施設の更新に必要な財源には限りがあり、その範囲内で取水、浄水等の施設や管路の更新を行っています。近年、道路整備事業の実施等に伴い、管路更新計画の優先順位を変更したことにより、管路更新率は思わしくありません。
全体総括
平成26年度末における水道事業の経営状況は、収支が継続して黒字であること、翌年度の支払資金が確保されていること等から安定していると考えられます。しかし、水道料金収入が減少傾向にある中、管路等の水道施設が法定耐用年数を超え始めるなど、水道施設の経年化が進んでいます。安定した水道サービス、安全な水を提供するためには水道施設の更新は不可欠です。水道施設を適正に更新するための財源が確保できるよう整備計画、財政計画を含めた水道事業中長期計画の見直しを行い、必要に応じて水道料金改定の検討を行います。