経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、100%を超えている。給水収益が主な収益であるが、非資金取り引きである長期前受金戻入が収益全体の10%をしめているため、黒字であるが、更新投資等に充てる財源を確保するため、更なる費用削減や水道料金の見直しの検討が必要である。③流動比率は、100%を超えているため、1年以内に支払わなければならない負債を賄えており、良好である。④企業債残高対給水収益比率は、類似団体平均値よりも低くく、適切に投資されている。⑤料金回収率については、100%を超えているが、更新投資等に充てる財源を確保するため、水道料金の見直しの検討が必要である。⑥平成26年度の給水原価は、平成25年度に比べて14.29円下がっている。その原因は非資金取り引きである長期前受金戻入であるため、費用削減や水道料金の見直しの検討が必要である。⑦施設利用率は、70%を超えており、水道施設を効率的に運営している。⑧有収率は、計画的な管路更新を実施していることにより90%を超えており、漏水やメーター不感等が少なく、適正に維持されており、給水収益に結びついている。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は、類似団体の平均値を推移しており、管路等の更新も計画的に行っている。②管路経年化率については、計画的に管路を更新しているが、管路の老朽化度合が少なからず増加傾向である。③平成25年度から中央浄水場の更新事業を重点的に行っているため、管路更新事業が縮小されている。管路更新は、アセットマネジメントに基づく投資計画等で見直しを行う必要がある。
全体総括
水道事業の指針となる八潮市水道ビジョンでは、「安全で安定性の高い水の供給体制づくり」を基本理念とした八潮市水道事業の将来像を実現するために必要事業を掲げた事業実施計画を策定し、事業を実施している。また、災害に強い水道施設づくりが必要であるため、給水拠点等への配水管は、基幹管路等耐震化計画を基に効果的効率的な事業執行を進める必要がある。一方、使用者の節水意識の向上や大口需要者の撤退等から配水量は減少傾向にあり、今後、必要な事業の執行が困難な状況も考えられ、災害時の対応や持続的な水道サービスに支障をきたす恐れもある。このため、今後も更なる経営改善と効率化を進めた上で、適切な料金の見直しや、企業債の活用等の財源確保を図りながら、持続的で安定した水道事業経営と水道サービスの提供に努めていく。