藤岡市：簡易水道事業（法適用）

経営の健全性・効率性について

経常収支比率は120％台で推移しており、経常収益で経常費用が賄えていると言え、類似団体平均値と比較しても高い水準が維持できている。流動比率については、会計制度の変更がＨ26より行われ数値の増減幅が大きいが、類似団体平均値を上回る水準を維持しており、累積欠損金もなく、安定した水道事業経営が行われていると考えられる。企業債残高対給水収益比率は類似団体平均値より高い水準にある。新たに建設した東部浄水場に関連する借入の影響など設備投資のための企業債であるが、企業債残高は増加しており注意する必要がある。料金回収率が100％を上回っており、現状では、水道水を供給する為の費用を水道料金によって賄えている事を表しており、給水原価が類似団体平均値より安価である事から、財務面では効率よく水道水を供給できていると考えられる。施設面においては、近年の人口減少や節水型機器の普及などによる水需要の減少により、年々施設利用率の低下を表しており、効率性の観点から設備更新の際には、ダウンサイジングなど改善の余地があると考えられる。有収率においても、改善傾向にあるが、類似団体平均値を下回る水準であり、浄水場から配水される水道水が効率良く家庭に届けられていない事を表しており、改善の必要を示している。

老朽化の状況について

有形固定資産減価償却率はＨ25までは類似団体よりも既存施設の老朽化を表していたが、Ｈ26に老朽化した小野浄水場、岡之郷浄水場を廃止し東部浄水場を稼働させた事もあり、Ｈ26は類似団体平均値を下回る結果を得る事ができた。今後は、他の既存施設の老朽化の進行が懸念されている。管路経年化率については、類似団体と比較し老朽化が比較的進んでいない事を表しているが、管路更新率については、各年度で更新した管路の割合が類似団体平均値よりも低い事を表している。今後、管路の老朽化の進行に、管路更新が追付かず老朽管の割合の増加が懸念され、計画的な管路更新を実施していく必要がある事を示している。

全体総括

現状の経営面においては安定した水道事業の運営を行っていると考えられるが、企業債の抑制を求められる中で、今後は老朽化の進む既存施設の更新を行う事となる。また、その財源となる給水収益は人口の減少や節水機器の普及などにより、近年落込みが続いている。将来の水需要の減少を踏まえ、事業規模に見合った施設の更新計画と綿密な経営計画が必要とされるところであり、今後も厳しい経営環境の中、経費節減等一層の企業努力が必要とされる。