経営の健全性・効率性について
経常収支比率について、H26は128.74%であり、H25の123.68%と比べ5.06%向上した。ただし、その主な要因は、長期前受金戻入の増加であり、地方公営企業会計制度見直し(みなし償却制度の廃止)に伴うものである。経常利益の内訳でみると、給水収益はH25の1,181,830千円から、H26には1,170,119千円と11,711千円減少しており、営業利益ベースで見ると前年度比でマイナスとなる。この傾向は、H24から続いており、節水型の生活機器の普及拡大等により、1人当たり使用水量が減少していることに起因するものと考えられる。流動比率については、H25の1371.60%から、H26は631.65%と急減しているが、これは主に地方公営企業会計制度見直しに伴う借入資本金の表示区分の変更及び引当金の計上義務付けによるものである。企業債残高対給水収益比率について、平均値はH23から減少傾向が続いているが、本市では横ばい傾向にある。当該指標は、料金水準と投資規模が影響する項目であるため、水道施設や管路の更新投資に対する世代間負担の公平化の観点から、一定水準を維持することが必要と考えられる。料金回収率及び給水原価、施設利用率については、平均値に比べ良好な数値を維持している。一方、有収率については、若干の改善が見られるものの、平均値を下回る状況が続いており類似団体と比較して、施設が効率的に利用されていない状況である。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率について、H22に47.31%であったものが、H26には50.91%となり、増加傾向が続いている。各年度における増加幅を見ると、H23は0.02ポイント増、H24は0.82ポイント増、H25は0.94ポイント増、H26は1.82ポイント増となっており、年々の増加幅も大きくなっている。この傾向は、管路経年化率にもあらわれており、1970年代に整備された管路が更新時期を迎えている中で、施設の老朽化が急速に進行していることが分かる。管路更新率については、1%を切る水準で推移しており、管路の更新ペースが経年化のペースに追いついていない状況である。
全体総括
経常収支比率及び料金回収率については、いずれも100%を超え、平均値を上回る水準を維持しており、単年度の収支で見れば経営の健全性・効率性に問題はないと考えられる。一方、老朽化の状況について、管路更新率は0.74%と平均値と同程度であるものの、有形固定資産減価償却率及び管路経年化率は年々増加しており、管路の更新ペースと経年化のペースに乖離がみられる。管路の老朽化は、有収率の低下や水道水の安定供給に対するリスクに直結するものであるため、更新計画の見直しが必要と考えられる。