経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は100%を確保しており、収支がほぼ均衡している状況にある。令和2年度中に水道料金を統一したことから数値は改善したが、今後も給水収益を増加させ、更なる費用削減を必要とする。⑤料金回収率は6割強であり、市からの繰入金で経営が補われているが、管路の布設整備が平成25年度にほぼ完了したことにより、有収水量が年々増加する傾向にあり、料金回収率も徐々に改善が見込まれている。③流動比率は100%を超えており、支払能力は担保されているが、建設改良費を留保資金から支出しているため減少傾向にある。企業債残高を注視しつつ企業債を借入れ、支出の平準化を図るとともに、流動資産(現金)を確保していく必要がある。④企業債残高対給水収益比率は高い数値となっているが、給水収益が少なく、施設整備後間もないため、企業債残高が多いことによる。⑥給水原価は類似団体と比較すると約2.24倍と高い数値となっている。施設規模に対して年間有収水量が少なく、減価償却費や支払利息等の経常経費が多くなっていることが要因である。⑦施設利用率は低い数値となっているが、有収水量の増加により徐々に改善されていくものと考えられる。⑧有収率は管路整備後間もないため、高い数値を保っているので、定期的な維持修繕により数値を保つ必要がある。地域性により、飲用可能な地下水を使用している世帯が多いことや、可住面積が広く住居が点在しているため施設整備費が嵩んでいること等が経営状況に反映されている。
老朽化の状況について
当事業体は昭和63年より簡易水道として事業を開始した比較的新しい事業体であり、管路の老朽化を迎えるまでに比較的猶予がある。しかし、他事業体よりも短期間で管路整備を進めてきた背景があり、集中的に更新時期を迎えることになるため、管路の老朽化に対して事業費の平準化を検討する必要がある。
全体総括
施設の規模に対して配水量が少ないことや水道普及率が低いことが、経営の課題となっている。未だ水道を利用していない方々に、安心安全で安定供給可能な水道への理解を深め、水道への認識を改善させることによって、水道普及率を向上させ、使用水量の増加を促すことで市からの繰入金に頼らない事業運営を目標とする。資産老朽化に対しては、修繕を適宜実施することで、施設の維持に努めるとともに、更新計画を作成し計画的な更新工事を実施していく。