経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、前年度に比べ0.72ポイントの増とななった。これは、料金改定等により給水収益が増となった一方で、企業債利子償還金の減を主な要因として経常費用が減となったことによる。しかし、依然として類似団体平均と比べ大幅に低く、厳しい経営状況が続いている。統合水道企業債利子償還金に係る一般会計繰入金は令和11年度で終了し、給水収益は人口減に伴い減少し続けることが見込まれることから、今後は、経費縮減だけでなく料金改定などによる経営基盤の強化が必要である。③流動比率は、企業債の新規借り入れ抑制により流動負債が減少し続けていることで良好な数値となっているが、今後は老朽化した水道施設の更新事業により現金預金が減少していくことが見込まれるため注視が必要である。④企業債残高対給水収益比率は、企業債の借り入れ抑制により類似団体と比べ低い値となっている。⑤料金回収率、⑥給水原価、⑦施設利用率は、①経常収支比率と同様の理由により、数値が変動している。水源のほぼ全てを県から受水している点や地理的要因などにより、⑥給水原価は類似団体平均と比べ大幅に高い値となり、⑤料金回収率は100%を下回っている。業務の効率化による経費縮減、施設の統廃合及びダウンサイジングの検討などにより、給水原価の低減に努めていく。⑧有収率は、漏水調査等の対策と老朽管更新を計画的に行うことで改善を進めていく。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は償却資産における減価償却済みの割合を示す比率で、減価償却の進み具合や資産の老朽化の度合いを示しているが、比率は右肩上がりとなっており老朽化が進んでいる。本市水道事業は昭和31年の給水開始後、平成初期の第2次拡張事業により管路延長が大幅に伸びたこともあり、管路経年化率はまだ低い水準である。しかし、今後、第2次拡張事業時に集中的に整備した管路の老朽化が進んだ際にそれらを同時期に更新することは経営上困難であることから、更新時期の平準化が必要となる。これらの比率の推移を注視しながら、将来の管路更新を計画的に行っていく。
全体総括
本市水道事業は、平成28年度に純損失を計上して以降、収支が均衡した非常に厳しい経営状況となっている。今後、人口減少に伴い有収水量が減少していくことは確実であるが、普及率の向上や水道料金の計画的な改定、料金収納率の向上などによって収益性の改善を図るとともに、より一層の経費縮減に努め、将来にわたり安定的な水道事業運営を行っていく。