経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、平成25年度と比較して大幅に悪化し、平成26年度102.79%となっている。給水収益の減少に加え、平成26年度に大沢第二浄水場が供用開始したことにより減価償却費及び動力費が増加したことが影響している。②累積欠損金比率は、平成25年度に特殊要因である上内町浄水場の用途廃止に伴う除却費(特別損失)が影響して7.44%となったが、平成26年度は累積欠損金は発生していない。③流動比率は平成26年度256.13%となっている。会計基準の見直しにより変動が大きくなっているが、短期的な支払能力(資金繰り)に問題はない。④企業債残高対給水収益比率は、平成26年度835.63%であり、類似団体と比較しても企業債に依存した投資となっている。今後は、内部留保資金を一定の水準で維持し、企業債残高の適正管理をしながら計画的な投資を実施しなければならない。⑤料金回収率は平成26年度に96.37%に悪化した。これは、前記大沢第二浄水場の影響が大きい。料金改定あるいは一般会計からの基準外繰入を検討しなければならない。⑥給水原価は平成26年度217.76円であり、類似団体と比較しても高い状況にある。維持管理経費の削減に努めることは当然であるが、施設の統廃合等により、給水原価の圧縮を図っていかなければならない。⑦⑧施設利用率は類似団体と比較して良い数字で適正な施設規模と言えるが、有収率は平成26年度76.73%で給水量が直接収益につながっていない状態である。漏水調査に基いた計画的な管路更新の実施による有収率向上が喫緊の課題である。
老朽化の状況について
①有形固定資産減価償却率は平成26年度35.03%となっており、全国平均や類似団体と比較すると若干良い数値となっている。投資の効率化・平準化を図るため、アセットマネジメントや施設統廃合等の計画に基づき、施設の更新を実施していく必要がある。②管路経年化率は4.29%であり、全国平均や類似団体と比較すると若干良い数値となっている。しかし、5年後には13%、10年後には25%と加速度的に増える状況にある。そのため、管路評価基準及び更新計画に則り、更新重要度の評価が高い管路から順次更新事業を実施していく必要がある。③管路更新率は0.74%であり、全国平均や類似団体とほぼ同じ水準にあるが、全延長の更新には135年かかる計算となるため満足できる更新率(投資額)ではない。また、今後経年管が急速的に増えていくことから、計画的な投資額の確保と更新事業増進が必要である。
全体総括
経常収支比率が平成26年度102.79%と悪化している。また、料金回収率についても平成26年度96.37%であり、100%を下回るまで悪化している。この回収率の悪化は大沢第二浄水場の供用開始による減価償却等の費用の増加が大きく影響しており、今後経常収支比率が100%を下回る可能性が大きくなっている。費用に関しては固定経費が大部分を占めていることから、料金改定や一般会計からの繰入を検討する段階になっている。また、投資については、継続的に施設・管路更新を実施するため、どのような形で資金を確保していくのかを検討しなければならない。