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2011年度
2010年度
指定団体等の指定状況
財政健全化等財源超過首都近畿中部過疎山振低開発指数表選定
人口の推移
産業構造
財政比較分析表(2019年度)
財政力
財政力指数の分析欄
単年度では、市内輸出産業の好調に伴い、基準財政収入額が増加(平成30年度43.9億円→令和元年度46.6億円)となったものの、基準財政需要額が概ね横ばい(平成30年度84.9億円→令和元年度85.6億円)となり、財政力指数は3ヶ年平均では0.02ポイントの増加となった。今後も、東日本大震災の影響による人口減少(平成30年度末33,437人→令和元年度末32,609人)などのマイナス要因が見込まれることから、歳出経常経費の徹底的な削減を図るとともに、税収増加への施策の重点化など、収納率向上に努め、財政の健全化を図る。
財政構造の弾力性
経常収支比率の分析欄
歳入(経常的経費)では、地方税の減少(-351,152千円)、普通交付税の減少(-200,196千円)等に伴い、経常的収入全体で662,526千円の減少となった。歳出(経常的経費)では、物件費の減少(-145,429千円)、扶助費の減少(-116,184千円)などにより、経常的支出全体では398,671千円の減少となった。この結果、前年度と比較して経常収支比率は2.4ポイントの増加となり、類似団体平均、全国平均及び岩手県平均を大きく上回っている。今後は、市税等の収入確保及び歳出の抑制に努めるとともに、公債費の繰上償還を実施し、経常収支比率の改善に努める。
人件費・物件費等の状況
人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄
人件費は、職員手当(46,771千円)、地方公務員共済組合等負担金(14,432千円)、特別職給与(5,832千円)の増加などにより、人件費全体として30,472千円の増加となった。物件費は、釜石鵜住居復興スタジアム仮設施設整備事業の増(949,272千円)、ふるさと便お届け事業の増(174,386千円)などにより、物件費全体として1,104,122千円の増加となった。この結果、前年度と比較して、人口1人当たり人件費・物件費等決算額は39,451円の増加となり、類似団体平均、全国平均及び岩手県平均を上回っている。近年は復旧・復興事業による施設の再建に伴う維持管理費が発生しているが、公共施設の集約化などにより、コスト削減に努める。
給与水準(国との比較)
ラスパイレス指数の分析欄
ラスパイレス指数は昨年と比較して0.1ポイントの増加がみられたが、ほぼ横ばいと言える状況であり、類似団体の平均を下回っている。これは、退職者に占める給与が低めの職員の割合が例年と比較すると高く、給与が高額な職員の退職者の割合が低かったことにより変化が少なかったことが要因とみられる。今後は人事評価制度の導入等による職務・職責に応じた構造への転換を進めるなど、給与体系の適正化に努める。
定員管理の状況
人口1,000人当たり職員数の分析欄
東日本大震災以降、復旧・復興事業の推進に多くの人員が充てられたことや、ラグビーワールドカップ2019開催に向け人員が充てられたことと当市の人口減少が相俟って、近年は類似団体平均及び岩手県平均を上回る状況が続いている。今後は、復興事業収束後の業務量を見据えた計画的な採用を進めるほか、新市庁舎の建設を契機に、各種システム、AIOCR等の導入による業務の効率化を図るほか、業務の見直しを進める。また大型施設等の管理は民間への委託を進めるなことなどにより人員の削減に務めるほか、人員が削減されても業務の遂行に耐えうる体制づくりに努める。
公債費負担の状況
実質公債費比率の分析欄
公共下水道の雨水処理に要する経費の増加(32,206千円)に伴い、公営企業に要する経費の財源とする地方債の償還の財源に充てたと認められる繰入金の額が増加したこと、また事業費補正により基準財政需要額に算入された公債費が減少(-25,796千円)したことなどから、実質公債費比率は、単年度比率(15.0%→15.7%)・3年平均値(13.3%→14.6%)ともに増加しており、類似団体平均、全国平均及び岩手県平均を上回っている。近年は公共施設等の建設など、大規模な市債発行を行っていることから、今後は事業計画の整理や縮減を図りつつ、公営企業債の元利償還に対する繰入金などの抑制に努める。
将来負担の状況
将来負担比率の分析欄
将来負担比率を算出する式の分子となる将来負担額が増加(2,042,729千円)したものの、充当可能基金が増加(4,308,212千円)したことに伴い、分子全体においては、1,398,172千円の減少となった。この結果、充当可能財源等が将来負担額を超えたため、将来負担比率は数値なしとなった。将来負担比率が良化したのは、東日本大震災の復旧・復興事業に係る震災復興特別交付税の精算金を多く含む財政調整基金が充当可能基金を押し上げているためである。今後は税収等も人口減少等により伸び悩みが避けられないことから、地方債や義務的経費の削減など財政健全化を図り、比率の上昇を抑制する。
経常経費分析表(経常収支比率の分析)(2019年度)
人件費
人件費の分析欄
経常経費充当一般財源の人件費は前年度比3.5%の減少となっているものの、職員給その他手当(46,771千円)、共済組合等負担金(14,432千円)、特別職給与(5,832千円)の増加などにより、人件費全体で30,472千円の増加となっているため、経常収支比率は0.8ポイントの増加となった。類似団体平均、全国平均及び岩手県平均を上回っており、今後は、直営で運営している施設に対する職員配置の見直しを行い、施設の統廃合を含め、民間への委託や効果的な職員体制の構築を図り、市民ニーズを反映した組織体制に基づき削減に努める。
物件費
物件費の分析欄
釜石鵜住居復興スタジアム仮設施設整備事業(949,272千円)、ふるさと便お届け事業(174,336千円)の増加などにより、物件費全体として1,104,122千円の増加となった。経常経費充当一般財源の物件費は、前年度比9.8%の減少となっているため、経常収支比率は0.5ポイントの減少となった。類似団体平均、全国平均及び岩手県平均を下回っているが、近年は復旧・復興事業による施設の再建に伴う維持管理費が発生しており、公共施設の集約化などにより、コスト削減に努める。
扶助費
扶助費の分析欄
子ども・子育て支援給付事業(54,791千円)、児童扶養手当給付事業(39,307千円)の増加、児童手当交付事業(-18,595千円)、障がい者自立支援給付事業(-12,730千円)の減少などにより、扶助費全体として59,499千円の増額となっているものの、経常経費充当一般財源の扶助費は、前年度比11.9%の減少となったため、経常収支比率は0.6ポイントの減少となった。類似団体平均と岩手県平均を下回っているものの、今後は、市単独の医療給付費の増加なども見込まれるため、各種手当への特別加算などの見直しを進めていくことで財政負担の抑制に努める。
その他
その他の分析欄
後期高齢者医療事業会計繰出金(-26,104千円)、国民健康保険会計繰出金(-17,631千円)の減少などにより、繰出金全体として5,601千円の減少となった。経常経費充当一般財源の繰出金は、前年度比0.8%の減少となったものの、その他の経常収支比率は0.4ポイントの増加となった。類似団体平均、全国平均及び岩手県平均を下回っているが、近年は復旧・復興事業による施設の再建が進んでおり、今後の維持管理費の増加が懸念されることから、事業計画の整理や縮減を図りつつ、維持補修費の抑制に努める。
補助費等
補助費等の分析欄
下水道会計負担金(-1,920,964千円)、復興関係事務費(国庫返還等)(-740,258千円)、災害応援職員経費(-72,637千円)の減少などにより、補助費等全体として2,154,069千円の減少となった。経常経費充当一般財源の補助費等は、前年度比1.8%の減少となったものの、経常収支比率は0.7ポイントの増加となった。類似団体平均、全国平均及び岩手県平均を上回っていることから、今後も引き続き、補助金及び負担金の見直しや廃止を行い、コスト削減に努める。
公債費
公債費の分析欄
一般単独事業債(-44,504千円)、公共事業等債(-22,327千円)の減少、公営住宅建設事業債(31,253千円)、過疎対策事業債(25,444千円)の増加などにより、公債費全体として40,674千円の減少となった。経常経費充当一般財源の公債費は前年度比1.2%増加し、経常収支比率は1.6ポイントの増加となった。平成20年度から市債発行額を元金償還額の90%以下にすることで、公債費抑制を図っていたが、震災後は、公共施設等の建設など、大規模な市債発行を行っており、90%以上の発行額となっている。今後、事業計画の整理や縮減を図りつつ、公営企業債の元利償還に対する繰出金などの抑制に努める。
公債費以外
公債費以外の分析欄
人件費については、職員配置の見直しや、民間への委託化など、市民ニーズを反映した組織体制に基づき、削減に努める。物件費については、引き続き削減に努める。扶助費については、各種手当の見直しなど財政負担の抑制を図る。補助費等については、補助金など交付基準等の見直しや廃止を行い削減に努める。その他については、特に公営企業に対する負担金について、繰出基準に基づく厳密な繰出や公営企業会計の経営計画見直しによる料金の適正化など、経営の効率化を踏まえて負担金の抑制に努める。
目的別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)
目的別歳出の分析欄
・総務費は、平成25年度以降、東日本大震災復興交付金基金への積立が大きく影響しており、住民一人当たりのコストは434,538円となっている。・農林水産業費は、漁業集落防災機能強化事業や水産業共同利用施設復興整備事業(魚河岸・新浜町)などの災害復旧事業費が多額であり、全国平均等を上回り、住民一人当たりのコストは104,378円となっているが、復興事業が収束することから、今後は事業費の減少とともにコストは下がる見込みである。・商工費は、根浜海岸多目的広場等整備事業や根浜海岸観光施設整備事業などの大型事業により、全国平均等を上回り、住民一人当たりのコストは38,551円となっているが、事業の完了に伴い、今後のコストは下がる見込みである。・土木費は、被災市街地復興土地区画整理事業や宅地整地事業(片岸地区・鵜住居地区)などの東日本大震災に係る復興事業が増加していることから、全国平均等を上回り、住民一人当たりのコストは432,365円となっているが、復興事業が収束することから、今後は事業費の減少とともにコストは下がる見込みである。・教育費は、釜石鵜住居復興スタジアム仮設施設整備事業や学校給食センター整備事業などの大型事業がピークを迎えたことから、全国平均等を上回り、住民一人当たりのコストは135,227円となっているが、大型事業の完了に伴い、今後は事業費の減少とともにコストは下がる見込みである。・災害復旧費は、市民体育館災害復旧事業や海岸施設災害復旧事業などの東日本大震災に係る災害復旧事業費が多額であり、全国平均等を上回り、住民一人当たりのコストは119,813円となっているが、災害復旧事業が収束することから、今後は事業費の減少とともにコストは下がる見込みである。
性質別歳出決算分析表(住民一人当たりのコスト)(2019年度)
性質別歳出の分析欄
・歳出決算総額においては、住民一人当たりのコストは1,617,419円となっている。・人件費は、東日本大震災以降、復旧・復興事業の積極的な推進に更なる人員増加が必要であったこと、当市の人口減少が相まって、近年は類似団体平均より高い傾向にあり、住民一人当たりのコストは105,607円となっている。・普通建設事業費は、東日本大震災に係る復興事業が増加していることから、全国平均等を大きく上回り、住民一人当たりのコストは538,280円となっているが、復興事業が収束することから、今後は事業費の減少とともにコストは下がる見込みである。・災害復旧事業費は、東日本大震災に係る災害復旧事業が増加していることから、全国平均等を大きく上回り、住民一人当たりのコストは119,813円となっているが、災害復旧事業が収束することから、今後は事業費の減少とともにコストは下がる見込みである。・物件費は、復旧・復興事業による施設の再建に伴う維持管理費等が増加していることから、全国平均等を大きく上回り、住民一人当たりのコストは159,008円となっているが、指定管理制度の導入等により、今後はコストは下がる見込みである。・補助費等は、東日本大震災に係る復興事業の進捗に伴い、公共下水道事業会計の負担金が多額となっていることから、全国平均等を大きく上回り、住民一人当たりのコストは175,448円となっているが、復興事業の減少とともにコストは下がる見込みである。・積立金は、東日本大震災復興交付金基金への積立により、平成25年以降は全国平均等を上回り、住民一人当たりのコストは283,041円となっているが、復興交付金事業が収束することから、今後は事業費の減少とともにコストは下がるものと思われる。
実質収支比率等に係る経年分析(2019年度)
分析欄・平成30年度の実質収支が約10.2億円だったことから、令和元年度の財政調整基金に4,169,554千円を積み立て、財政調整基金の残高は5,870,655千円となっている。・平成25以降における実質収支額の増は、東日本大震災に係る復旧・復興事業の影響によるものである。
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連結実質赤字比率に係る赤字・黒字の構成分析(2019年度)
分析欄・平成25年度以降、他会計に比べて一般会計が突出して黒字になっている年度があるのは、東日本大震災による復旧・復興事業の多くを繰り越していることによるものである。・東日本大震災から10年が経過し、復旧・復興事業も終盤を迎えることから、徐々に東日本大震災以前の数値に戻っていくものと予想される。
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実質公債費比率(分子)の構造(2019年度)
分析欄元利償還金と公営企業債の元利償還金に対する繰入金が元利償還金等を押し上げたことと、算入公債費等の微減により、分子全体としては72百万円の増加となった。近年は公共施設等の建設など、大規模な市債発行を行っていることから、今後は事業計画の整理や縮減を図りつつ、公営企業債の元利償還に対する繰入金などの抑制に努める。
分析欄:減債基金
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将来負担比率(分子)の構造(2019年度)
分析欄将来負担比率を算出する式の分子となる将来負担額が増加(2,042,729千円)したものの、充当可能基金(4,308,212千円)が増加したことに伴い、分子全体においては、1,398,172千円の減少となった。この結果、充当可能財源等が将来負担額を超えたため、将来負担比率は数値なしとなった。将来負担比率が良化したのは、東日本大震災の復旧・復興事業に係る震災復興特別交付税の精算金を多く含む財政調整基金が充当可能基金を押し上げているためである。今後は税収等も人口減少等により伸び悩みが避けられないことから、地方債や義務的経費の削減など財政健全化を図り、比率の上昇を抑制する。
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基金残高に係る経年分析(2019年度)
基金残高合計
基金全体
(増減理由)・東日本大震災復興交付金基金を10,566,580千円取り崩したこと、また復興まちづくり基金を547,589千円取り崩したことなどにより、基金全体では-5,002,675千円の減少となった。(今後の方針)・復興事業が終盤を迎え、復興事業の財源となる特定目的基金の残高が減少していくことが影響し、基金全体の残高は減少していく見込みである。
財政調整基金
財政調整基金
(増減理由)・財政調整基金は、前年度の決算剰余金などにより4,169,554千円を積み立てたが、復興事業の進捗に応じて2,913,529千円を取り崩したため増加となった。(今後の方針)・震災復興特別交付税の精算のため、財政調整基金を取り崩して、償還金に充てる予定としている。
減債基金
減債基金
(増減理由)・減債基金は、災害復興公営住宅建設事業債などの償還に備えて2,227,823千円積み立てたことにより増加となった。(今後の方針)・近年、経常収支比率及び実質公債費比率の数値が高いことから、減債基金を財源とし、繰上償還することを予定している。
その他特定目的基金
その他特定目的基金
(基金の使途)・東日本大震災復興交付金基金:東日本大震災復興交付金事業の財源に充当・復興まちづくり基金:復興交付金事業以外の東日本大震災からの復興事業の財源に充当・庁舎建設基金:新市庁舎の2023年度開庁に向け、建設事業の財源に充当(増減理由)・東日本大震災復興交付金基金:東日本大震災復興交付金の配分が昨年度から2,829,218千円減少の1,620,804千円であったのに対し、復興事業の財源として10,566,580千円を充当したことによる減少・庁舎建設基金:2023年度開庁に向けて整備を進める新市庁舎建設事業の財源に充当するため、1,000,106千円を積み立てたことによる増加・復興まちづくり基金:ふるさと寄附金分などを財源とした積立金191,665千円に対し、被災者住宅再建などの財源として547,589千円を充当したことによる減少(今後の方針)・東日本大震災復興交付金基金:東日本大震災復興交付金の配分を受け、残高が増加していたが、復興交付金事業の進捗に伴う充当により、残高は減少傾向にある。復興事業も終盤を迎えていることから、今後も同様の傾向が続き、残高は減少していく見込みである。・庁舎建設基金:2023年度開庁に向けて整備を進める新市庁舎建設事業費について、今後、更に積立てを予定している。・復興まちづくり基金:主に被災者の住宅再建事業に充当しており、復興交付金事業の進捗に伴い、被災者の住宅再建が進んでいることから、今後残高は減少していく見込みである。
公会計指標分析・財政指標組合せ分析表(2019年度)
有形固定資産減価償却率
有形固定資産減価償却率の分析欄
有形固定資産減価償却率については、類似団体より低い水準にあり、令和元年度以降においても同様の傾向が続く見通しである。これは東日本大震災の復興事業で集中的に整備された施設が多いためである。一方、築30年以上を経過した施設が全体の約38%を占めるなど、耐用年数を迎え老朽化に直面している施設も多いことから、今後は有形固定資産減価償却率の水準に留意しつつ、個別施設計画を基に、より適正な施設の維持管理を目指していく。
(参考)債務償還比率
債務償還比率の分析欄
債務償還比率は、類似団体平均を下回っており、主な要因としては、東日本大震災の復旧・復興事業に係る震災復興特別交付税の精算金を多く含む財政調整基金が充当可能基金を押し上げているためである。一方、将来負担額は増加しており、今後の債務償還比率の増加要因となりうるため、地方債発行額の適正化など、健全財政の維持に取り組んでいく。
分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析
分析欄:将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析
将来負担比率の算出式の分子となる将来負担額が増加(2,042,729千円)したものの、充当可能財源等の増加(3,440,901千円)に伴い、分子がマイナスになったことで、将来負担比率は昨年度の13.9%から-%となった。要因としては、東日本大震災の復旧・復興事業に係る震災復興特別交付税の精算金を多く含む財政調整基金が充当可能基金を押し上げているためである。今後も地方債や義務的経費の削減など財政健全化を図り、比率の上昇を抑制する。また、東日本大震災の復興事業による公共施設の整備に伴い、有形固定資産減価償却率は類似団体内平均値を大幅に下回っているが、過去に集中的に整備された施設の老朽化に直面しており、今後は数値の上昇が懸念されることから、施設ごとの個別施設計画を基に、より適正な施設の維持管理を目指していく。
分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析
分析欄:将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析
将来負担比率の算出式の分子となる将来負担額が増加(2,042,729千円)したものの、充当可能財源等の増加(3,440,901千円)に伴い、分子がマイナスになったことで、将来負担比率は昨年度の13.9%から-%となった。要因としては、東日本大震災の復旧・復興事業に係る震災復興特別交付税の精算金を多く含む財政調整基金が充当可能基金を押し上げているためである。今後も地方債や義務的経費の削減など財政健全化を図り、比率の上昇を抑制する。令和元年度の公債費は、過疎対策事業債、被災施設復旧関連事業債の増などにより1,380,340千円の増となり、実質公債費比率(単年度)は前年度より0.7ポイント増加した。復旧復興事業に伴い、過疎対策事業債、復興公営住宅建設事業債など、大規模な市債発行を行っているが、事業計画の整理や縮減を図りつつ、公営企業債の元利償還金に対する繰入金などの抑制にも努める。
施設類型別ストック情報分析表①(2019年度)
施設情報の分析欄
類似団体と比較して特に有形固定資産減価償却率が高くなっている施設は、橋りょう・トンネルであり、特に低くなっている施設は認定こども園・幼稚園・保育所、学校施設、公営住宅、児童館である。橋りょう・トンネルについては、施設の多くが1960年代から1970年代に整備されたものであり、整備後50年を経過するものは全体の14%、30年を経過するものは全体の65%を占め、老朽化した橋りょうが増えていることから有形固定資産減価償却率が高くなっている。令和元年度以降においても同様の傾向であるが、橋梁長寿命化修繕計画に基づき、計画的に改修を進め、老朽化対策に取り組んでいくこととしている。公営住宅については、東日本大震災以降に市では災害復興公営住宅約940戸の整備を進めたことから、有形固定資産減価償却率は類似団体内平均値を大きく下回っている。認定こども園・幼稚園・保育所、学校施設、児童館についても同様に、東日本大震災の復興事業で施設を整備したことにより、低くなっている。これらの復興関連施設は整備のピークを迎えたことから、今後も低い状態が続く見通しであり、老朽化が進む既存施設の統廃合も含めて施設の適正配置に努め、維持管理費の増加に留意していきたい。
施設類型別ストック情報分析表②(2019年度)
施設情報の分析欄
類似団体と比較して特に有形固定資産減価償却率が高くなっている施設は、図書館、一般廃棄物処理施設、福祉施設、庁舎であり、特に低くなっている施設は、保健センター・保健所、消防施設、市民会館である。図書館については、昭和58年度建設後の経年が進んでいるため、有形固定資産減価償却率が類似他団体内平均値より高くなっている。唯一の市立図書館であることから計画的に改修を行い施設の延命化を図り、引き続き老朽化対策に取り組んでいく。一般廃棄物処理施設については、岩手沿岸南部広域環境組合が固定資産台帳を作成したことにより、比較的新しい岩手沿岸南部クリーンセンターの減価償却率が反映されたため、平成30から数値が低下している。保健センター・保健所については、平成18年度に保健センター大規模改修が行われたことから有形固定資産減価償却率が類似団体平均値を下回っている。庁舎については、特に昭和29年度建設の第一庁舎の経年が進んでいるため、有形固定資産減価償却率が類似他団体内平均値より高くなっている。令和元年度も同様の傾向であり、今後は建物の経年に伴い徐々に数値が高くなる見通しである。併せて維持管理にかかる経費の増加が懸念されるが、現在新市庁舎建設が計画されており、将来的には施設統合も検討されていることから、引き続き維持管理費の抑制に努めつつ老朽化対策に取り組んでいくこととしている。消防施設、市民会館については、東日本大震災の復興事業で消防屯所、釜石市民ホール等の施設を整備したことにより、数値の低下が見られた。
財務書類に関する情報①(2019年度)
1.資産・負債の状況
一般会計等の資産総額は、前年度末から3,641百万円の減少(△2.0%)となった。金額の変動が大きいものは基金と事業用資産であり、基金については、震災復興事業の進捗に伴う東日本大震災復興交付金基金の取り崩しが大きく影響し、基金(固定資産)が6,258百万円減少した。事業用資産は、同じく震災復興事業の進捗による減少が大きく影響し、5,735百万円減少した。資産総額のうち、有形固定資産の割合は81.4%であり、これらの資産は将来の維持管理・更新等の支出を伴うものであることから、早期に施設ごとの個別計画を作成し、より適正な施設管理に努めていきたい。一般会計等の負債総額は、前年度末から1,781百万円の増加(+6.6%)となった。金額の変動が最も大きいものは地方債等(固定負債)であり、震災復興事業や過疎対策事業など大型の施設整備事業による地方債発行額が償還額を上回り、2,302百万円の増加となった。
2.行政コストの状況
一般会計等の純経常行政コストのうち、経常費用は28,485百万円となり、前年度末から3,056百万円の減少(△9.7%)となった。このうち人件費や物件費等の業務費用は17,108百万円、補助金等や社会保障給付、他会計への繰出金等の移転費用は11,378百万円であり、業務費用の方が移転費用より多い状況である。業務費用のうち最も金額が大きいのは、維持補修費や減価償却費を含む物件費12,942百万円(前年度末比△1,243百万円)である。移転費用は前年度末から1,492百万円減少しており、影響が大きいのは補助金等7,248百万円(前年度比△1,634百万円)で、下水道会計負担金の減少及び復興関係管理事務費の復興交付金基金返納額の減少等によるものである。震災復興事業の進捗により多くの施設が再建されていることから、公共施設の適正管理とともに経費の縮減に努めていきたい。
3.純資産変動の状況
一般会計等では、財源32,412百万円(前年度末比+5,405百万円、+20.0%)が純行政コスト28,080百万円(前年度末比△2,351百万円、△7.7%)を上回ったことから、本年度差額は+4,332百万円となった。これは、震災復興の進捗に伴い、土地区画整理事業に係る工事費などの維持補修費や、被災した公共施設やインフラなどの災害復旧事業費といった純行政コストが減少した一方、震災復興特別交付税(過年度分を含む)などの交付税が増加したことに伴い、財源の税収等が増加したためと考えられる。
4.資金収支の状況
一般会計等では、業務活動収支は3,745百万円であったが、投資活動収支については、投資活動支出が投資活動収入を上回って△2,171百万円となっている。この投資活動収入の多くは震災復興事業の進捗に伴い基金を取り崩しているもので、今後数年間も同様の状況が続く見通しである。また、財務活動収支は、地方債等発行収入が地方債等償還支出を上回ったことから2,464百万円となっているが、地方債発行額が近年増加傾向にあるため、後年における地方債償還額の増加が懸念されることから、地方債発行額の抑制に取り組む必要がある。
財務書類に関する情報②(2019年度)
1.資産の状況
住民一人当たり資産額は、東日本大震災復興交付金を積み立てている基金や、震災復興事業により形成された有形固定資産が資産合計を増加させていることで、類似団体平均値を大きく上回っている状況にある。しかし、震災復興事業の進捗に伴う取崩しや、事業精算に伴う国庫返還等により、基金が減少しており、資産額は減少に転じ、今後も減少傾向に向かうことが予想される。歳入額対資産比率は、類似団体を下回っているが、これは地方債発行額や震災復興事業における基金繰入金が多額であるためで、震災復興関連事業がピークを過ぎたことから、今後も歳入総額が減少し、数値が増加していくものと予想される。令和元年度においては、資産額の減少に伴い、昨年度と同等の数値となっている。有形固定資産減価償却率は、震災復興事業により新たに資産が整備されたため、類似団体平均値を下回っている。しかし、既存施設の多くが耐用年数を迎え老朽化に直面していることもあり、今後数値の増加が予想される。
2.資産と負債の比率
純資産比率は、83.8%となり、前年度より1.3%減少したものの、類似団体平均値に比べ高い数値になっている。これは、純資産残高が昨年度から5,421百万円、3.5%減少したものの、基金の減少等に伴い資産が3,641百万円、2.0%減少したことによるものである。将来世代負担比率は、昨年度から2.1ポイント数値が増加したものの、類似団体平均値を下回っている。しかし、大型事業の実施により、地方債残高も増加していることから、今後は地方債の発行抑制に取り組み、将来世代への負担軽減に努めていきたい。
3.行政コストの状況
住民一人当たり行政コストは、昨年度に比べて4.7万円減少したものの、類似団体平均値を大きく上回っている。これは震災復興事業により、純行政コストが高い数値を推移していること、また人口の減少が著しいことが大きな要因である。
4.負債の状況
住民一人当たり負債額については、昨年度から7.5万円増加し、類似団体平均値を上回っている。これは近年の災害復興公営住宅建設事業などの大型事業により、地方債発行額が増加したことから、負債合計は前年度比1780百万円、6.6%増加し、これに人口減少が相まったためである。公営住宅債については、すでに償還が始まっており、今後は減少していく見込みである。基礎的財政収支は、業務活動収支は3,862百万円の黒字であったが、投資活動収支が7,174百万円の赤字であったため、総じて3,312百万円の赤字となり、類似団体平均値を大きく下回った。投資活動収入の多くを占める基金事業の財源となる基金取崩収入が除かれていることで、投資活動収支が大きく赤字となったためである。
5.受益者負担の状況
受益者負担比率は、昨年度から2.4ポイント減少したものの、類似団体平均値を大幅に上回った。これは、経常収益が昨年度から990百万円減少した一方、経常費用は昨年度から3,056百万円減少しており、復興に係る区画整理事業等に伴う経費の減少が大きい。震災後に整備された施設の維持管理費が、今後の財政運営の負担となることが懸念されているため、公共施設等総合管理計画に基づき、老朽化した既存施設の集約化・複合化や長寿命化と併せて、適切な管理を進めていきたい。
類似団体【Ⅰ-2】
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