経営の健全性・効率性について
経常収支比率は100%以上で推移し単年度収支の黒字を維持しております。累積欠損金は発生しておりませんが、今後、将来にわたり、給水人口の減少等による給水収益の減少が見込まれることから、経営の健全性の確保が必要です。流動比率は、100%を上回る水準を維持しており、短期的な支払能力に問題はなく、当面資金不足に陥る見込はありません。企業債残高は新規借入れがなく、年々減少しておりますが、給水収益は減少傾向にあり、復興事業完了後は、施設整備における財源に企業債を予定することから、比率が高まることが予想されます。料金回収率は、給水収益が減少傾向にあるものの100%以上の水準を維持しており、給水に係る費用は給水収益で賄われている状況です。給水原価は平均値をやや下回っており、今後は減価償却費の増加等により、高まることが予想されます。施設利用率は類似団体より低い水準で推移しています。施設能力に余力があるとも言えますが、効率的な利用に努めます。有収率は東日本大震災前の数値に回復し、復興事業の成果と推察されます。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、前年と同程度となっておりますが、今後、復興事業で整備した施設に係る償却費計上により上昇が見込まれます。管路経年化率は、給水区域拡張期に布設した多くの水道管が、順次法定耐用年数(40年)を迎えており、今後も上昇が続きます。管路更新率は、類似団体平均値より高くなっているものの、復興事業の進捗により上昇しているものであるため、今後は被災地区以外の管路について計画的な更新とその財源確保に努めてまいります。
全体総括
現状では独立採算での事業を継続しており、経営の健全性、効率性は、概ね良好な状態を維持しておりますが、今後は、将来にわたり、給水人口の減少等に伴う収益の減少が見込まれ、さらに経年施設の更新費用や安定供給に係る維持管理費の増加、災害対策など大きな課題を抱えており経営環境は厳しさを増すことが予想されます。安全な水質確保や災害への備え、また、施設の更新を計画的進めるために必要な財源の確保を図りながら、適時適正な料金設定に留意し、健全で安定的な事業運営を継続するため、経営効率を高めるよう努めます。