経営の健全性・効率性について
経常収支比率は、近年90%台で推移しているが、依然赤字経営となっている。累積欠損金比率についても平成30年度からは、年10%程度と増加幅が大きくなり、積み増し状況が続いている。流動比率は改善傾向にあるが、それでも類似団体平均の約4分の1であり、厳しい状況である。企業債残高対給水収益比率は、年々値が小さくなっており、改善傾向といえる。これは平成30年度から行っている交付金事業により、起債額の低減化が図られており、その効果が表れていると考えられる。今後も減少傾向を維持したい。料金回収率は近年約65%で推移しているが、依然として類似団体平均には及ばない。構成市からの繰出基準外の繰入金によって補てんを行っているため、更なる経営努力が求められる。給水原価と有収率は改善がみられたものの、施設利用率は年々悪化しているため、施設のダウンサイジング等によって引き続き改善に努めたい。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は年々2%程度数値が上昇し、法定耐用年数を迎える固定資産が増加傾向にあることが分かる。管路経年化率は改善傾向にあり、類似団体平均よりも経年化は抑えられている。しかし、管路更新率は年度によってバラつきがあり、類似団体と比較しても管路更新が遅れている状況である。現在行っている交付金事業を活用して整備等のコストを抑えつつ、将来の人口を見据えた適材適所の施設整備や更新を行う。
全体総括
令和3年度は、平成29年4月に水道料金の改定を行ってから5年目にあたる。年々料金改定の効果は薄れており、経営状況の厳しさがいっそう増すなかで、次期の料金改定についても検討をはじめる段階に差し掛かっているともいえる。しかしながら新型コロナウイルス感染症の流行下(コロナ禍)において、物価の上昇など市民生活に多大な影響が生じている。そうしたなかで、水道料金の値上げには理解を得難い。交付金等の活用により、収支バランスを改善し、料金改定を回避できるようにしていきたい。また、令和4年3月末に改定した水道ビジョン・経営戦略に基づき、施設のダウンサイジングや効率化に引き続き取り組み、経常的な費用を削減することや、構成市との連携を強化することで持続可能な水道事業の運営に努めていきたい。