経営の健全性・効率性について
経常収支比率は黒字(105.76%)を維持しているものの下降傾向にあり、類似団体の平均値を下回っている。現状、累積欠損金は無いものの、今後、更なる給水収益の低下等に伴い、繰越利益剰余金等においても補填できない累積欠損金を生じる可能性は十分にある。なお、流動比率は100%を超えているものの、ここ数年減少傾向が続いており、これについても類似団体の数値を下回っている。企業債残高対給水収益比率は、新たな企業債の借入額を原則として償還額を超えない額としているため、指標は減少傾向にあるものの、このことが更新需要に応えられない要因となっており、管路経年化率の上昇、管路更新率の低迷に繋がっている状況にある。料金回収率については、大口需要者の井戸への転換による給水収益の影響が顕著となっており、令和3年度においては、給水収益以外の収入(加入金等の営業外収益)は増加したものの、指標は2.03ポイントのマイナスとなった。また、有収水量1㎥当たりどれだけの経費がかかっているかを示す、給水原価についても、前述の影響等による年間総有収水量の大幅な落ち込みにより、4.29円の増加となった。なお、有収率についても、同様の要因により大幅な落ち込み(マイナス2.35ポイント)となった。
老朽化の状況について
昭和48年に水道事業を創設して以来40年以上が経過しており、また、創設当初に布設した管路が多く占めるため、有形固定資産減価償却率、管路経年化率は類似団体の平均値を大きく上回っていることから、施設の老朽化が進んでいるのに対して、管路更新率は0.28%に留まっている。これは、大口径の基幹管路の更新を優先的に実施しているためであり、将来の更新需要に備え、現在の経営状況を維持しつつ引き続き計画的な施設更新を進めていく。
全体総括
人口減少、大口需要者の地下水への転換に伴う有収水量の減少傾向に伴い、給水収益の減少が顕著に現れつつある。一方、暫定井戸の取り扱いに伴い、今後、受水費用は更に大幅増加することとなり、事業収支は更に厳しい状況を向かえることとなる。こうした中、経年化が進んでいる施設・管路の更新も急務であり、対策に必要な財源の確保も喫緊の課題となっている。現在は、令和3年度に策定した「富里市水道事業ビジョン」・「水道事業経営戦略」に基づき、将来にわたって安心・安全な水道サービスが安定的に提供できるよう取り組んでいるところである。