経営の健全性・効率性について
①平成30年4月の水道料金改定による給水収益の増加によって、経常収支比率は大きく平均値を上回り、今年度も継続して高い水準を維持している。②累積欠損金比率は0であり健全である。③流動比率は平均値を大きく下回っており、また、前年度よりも減少しており、改善には時間を要する状況である。減少した主な要因は、流動資産の未収金が減ったことによる。④企業債残高は順調に減少しており、平均値を大きく下回っているが、③の流動比率が低いため、資本的収支の不足額が大きい場合は起債を検討する必要がある。⑤平成30年4月の水道料金改定により、料金回収率は健全な水準となったが、⑥の給水原価が上昇すると、低下していくため、注意が必要である。⑥給水原価は前年度と同水準である。全国平均を大きく下回り、健全な状況ではあるが、動力費などの増加要因もあるので、注意が必要である。⑦施設利用率は前年度と同水準で、平均値を上回っているが、個々の施設能力が適正であるか検証していく必要がある。⑧有収率は平均値を大きく上回っているが、これは工場用の責任水量によるものである。令和3年度においては実配水量においては89.5%となり、前年度より減少した。
老朽化の状況について
①減価償却率は前年度より上昇しており、平均値を上回っている。50%を超え、類似団体平均値との差が広がっている。施設の更新を早めていく必要がある。②経年化率は前年度と同水準であり、平均値は上回っている。早急な更新が必要である。③更新率は前年度より低下しているが、平均値は上回っている。耐用年数を超える管路が増加しないように、今後も計画的な更新が必要である。
全体総括
平成30年4月の水道料金改定により、経常収支比率や料金回収率は改善しているものの、流動比率は平均と比較すると依然として低く、かつ前年度よりも減少している。また、老朽化の状況としては、管路更新率は平均より高く、計画的な更新は進められているものの、未だ減価償却率、経年化率ともに全国平均を超えており、今後も管路・施設の更新に努めていく必要がある。管路・施設の更新に伴い営業費用が増加することから、今後の流動比率の改善は、より厳しくなっていくことが予想される。水道料金の原価に資産維持費を計上していないこともあり、水需要の動向と、今後の財政運営の状況改善に向けた検証をしていく必要がある。