経営の健全性・効率性について
①経常収支比率は、給水収益や他会計補助金等の収益(経常収益)が維持管理や支払利息等の費用(経常費用)をどの程度賄えているかを表す指標で、113.33%と前年度から減少はしたが類似団体平均値及び全国平均値を上回っています。しかし、給水に係る費用がどの程度給水収益で賄えているかを表す料金回収率を見ると、98.11%と100%を下回る結果となっており、給水収益以外の収入(他会計補助金や長期前受金戻入)で賄われている状況です。また、今年度は再び給水原価が供給単価を上回る逆ざやの状態となっており、有収水量の増加があまり見込めない状況から考えると、給水収益の大幅な回復は見込みがたい状況であることから、一層の効率的事業運営による経費節減が求められています。②流動比率については、短期的な債務に対する支払能力を表す指標で類似団体を下回っているものの全国平均値は上回っています。また、給水収益に対する企業債残高の割合を示す企業債残高対給水収益比率については、企業債残高の減少により改善傾向にあります。③施設利用率は、一日配水能力に対する一日平均配水量の割合で、高い数値であることが望まれ、92.44%と全国平均の60.29%を上回っており、施設の利用状況としては適正であると思われます。しかし有収率については、80.02%と前年度よりも約1ポイントダウンし、全国平均も大幅に下回っています。無収水量を減らすため、給水区域内での漏水調査の実施や、漏水多発管の布設替を行っており、今後も有収率の改善に努めていきます。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率は、資産の老朽化度合いを示しており、100%に近いほど保有資産が法定耐用年数に近づいている状態ですが、令和3年度の数値は52.47%と平成29年度から約6ポイント上昇しており、老朽化が進行しています。管路経年化率は26.93%と前年度よりさらに上昇し、平成29年度から約9ポイント上昇しており、更新の需要が年々高まっています。しかし、その中で管路更新率は0.38%と低い状況です。漏水多発管を優先しつつ管路の更新を進めてはいますが、費用の問題や他事業工事との兼合いもあり、どれだけ更新率を上げていけるかが課題となっています。
全体総括
人口減少により給水収益の大きな増加が見込めない状況にある一方で、維持管理費等が今後さらに増加していくと考えられます。常に安全で良質な水を安定して供給するために、漏水調査や漏水多発管の更新を進め有収率の向上に努めていくことはもとより、資産の更新・整備を計画的に推進し、経常費用の削減に努めるほか、企業債残高の削減を図るなど、限られた財源の重点的かつ効率的な配分により健全経営を目指していきます。