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財政力指数は、少子高齢化の進行により人口が減少傾向で推移している中にあって、基幹産業である農林業は低迷し、他に主要となる産業もないことなどから、構造的に見ても財政基盤が弱く、類似団体平均を下回っている。そのため、第5次行財政改革大綱及び推進プランに基づく徹底した行財政改革の継続や行政の効率化に努めることにより、財政の健全化を図る。
経常収支比率は、類似団体平均と比較すると高い水準となっており、対前年度比でも3.8%高くなっている。主な要因としては、集中改革プランに基づく職員数の削減施策等により平成28年度までは職員数が減少傾向であったが、住民ニーズや国の制度改革等に対応した多様な行政サービスを提供する観点から職員数を増加させたことよる人件費の増が挙げられるほか、事務の電算化に要する役務費・使用料等の増加も挙げられる。今後は事務の効率化等、行政改革に取り組みながら人件費の抑制を行い、指標の改善に努める。
人口1人当たりの決算額は、類似団体平均と比べて低い決算額となっている。これは、議員定数や報酬額の削減、行政委員の報酬削減、特別職給の削減などによるものである。人件費に準ずる費用については、ごみ収集業務、保育所、給食センターなどの施設運営を町直営としているため、臨時職員などの賃金が多くなっているが、これは行政サービス提供方法の差異によるものといえる。今後は、公共施設等総合管理計画に基づいた施設の統廃合など、コスト削減に向けた取組みを行う。
人口1,000人当たりの職員数は、過去からの新規採用抑制策により、類似団体平均を下回っており、前年度比で0.1%の微減となっている。これまで職員数の削減を進めてきたが、近年は住民ニーズの多様化や質の高い行政サービスを提供する観点から、退職者に合わせて計画的に職員を採用している。今後も更なる住民サービスの向上を図るため、組織機構の見直しや、事務の効率化等に取り組んでいく。
実質公債費比率は前年度比で0.2%改善し、類似団体平均を下回っている状況である。要因は、平成16年度から23年度において重点的に実施した普通建設事業の厳選による地方債発行額の抑制策の効果が表れ、元利償還金は平成28年度まで減少傾向で推移したことから、実質公債費比率についても改善したところである。しかしながら、今後は近年の大型建設事業の実施により、元利償還金が増加し、実質公債費比率も悪化傾向で推移する見通しであるため、事業の更なる厳選を行い、新規地方債の発行抑制に努める必要がある。
平成29年度決算まで将来負担額に充当可能な財源額が、将来負担額を上回っていることから、将来負担比率は算定されていなかったが、平成24年度以降、松野中学校建設事業等大型建設事業の財源として多額の地方債を発行したことにより、近年、地方債現在高が増嵩し、充当可能な財源額を将来負担額が上回ったため、平成30年度決算から算定されることとなった。今後は事業の厳選により、起債の発行を抑制するとともに、更なる行財政改革を実施することで、内部管理経費等の抑制に努める必要がある。
行財政改革の一環として、理事者や議員等の報酬を5%~10%削減するなど、継続した人件費抑制施策により、類似団体平均より低い割合で推移してきた。しかしながら、住民ニーズの多様化や国の制度改革等に対応した行政サービスを提供する観点から職員数を増加したことにより、前年度比2.0%増加し、類似団体の平均と同程度の数値となっている。今後は組織の体制整備や職員の適正配置に取り組むことにより、人件費の抑制に努める必要がある。
指定管理者制度の導入に伴う民間企業の算入により、競争に伴うコスト削減効果が表れ、27年度までは類似団体平均を下回っていた。しかし、28年度からは、地域密着型の観光交流事業の推進を目指し、町出資のもと新法人を設立し、指定管理を行った。それに伴い指定管理料が増加したことなどにより、類似団体平均を上回っている。今後は、更なる行財政改革を推進し、指定管理料についても適正な水準であるか等検証を行うことにより、物件費全般の抑制に努める必要がある。
類似団体平均を上回っているが、その大半が法令で定められた社会保障に伴う支出であり、町単独で措置している経費は僅かとなっている。今後も高齢化が進行することは避けられないため、増加傾向で推移すると思われるが、資格審査等の適正化に努める。
近年は、国民健康保険特別会計や介護保険特別会計等に対する繰出金が増加傾向で推移しているほか、国民健康保険中央診療所特別会計において、患者数の減少を背景とした診療所の経営悪化に伴う赤字補てん的な繰出金が増加したことなどを要因として、類似団体平均を上回っている。今後は、医療費を抑制するため予防活動に重点を置き、定期検診の実施や健康づくり教室など元気な高齢者の増加を図る施策等の推進による給付費の抑制に努めるほか、国民健康保険税の適正化などにより、普通会計の負担を軽減するよう努める必要がある。
各種団体に対する補助金について、住民の協力を得て一律での削減を実施するとともに、費用対効果等を検証し、必要な見直しを行っていることなどにより、類似団体平均を下回って推移しているしかしながら、比率は平成28年度からは悪化傾向にあり、今後は団体に対する補助金については、事業内容に応じた補助に切り替えるなど、成果の検証や見直しを行い、補助費の抑制に努める。
道路等の社会資本整備に加え、観光施設整備等に多額の地方債を発行したことに伴い、類似団体平均を大きく上回っていたが、16年度から23年度に建設事業等に係る起債発行抑制施策や起債の繰上償還を実施したことにより、27年度決算からは類似団体平均を下回っている。今後も、公共施設等総合管理計画等に基づき、既存公共施設の有効活用や統廃合のほか、事業の厳選により建設事業費を抑制することで、地方債発行の抑制に努める。
近年は、小学校大規模改修事業や定住住宅建設事業等、町の重要施策を推進するため普通建設事業費が増加しており、公債費以外の比率が悪化傾向で推移している。特に平成30年度は、7月豪雨災害の影響により、被災者の生活を再建するための経費や、農地・農林業施設等の災害復旧事業費が増加したことが主要因となり、前年度比3.9%増加するとともに、類似団体平均も上回っている。今後は、公共施設の老朽化による公共施設長寿命化対策事業費の増加が懸念されるが、公共施設等総合管理計画に基づき、施設の統廃合も含めた適正整備を行い、事業費の抑制に努める。
(増減理由)28年度まで増加傾向であった財政調整基金については、近年実施してきた中学校建設事業をはじめ、宇和島地区広域事務組合における汚泥再生処理センター及び熱回収施設等建設事業、虹の森公園及び森の国ぽっぽ温泉改修事業等の大型建設事業の実施に伴い、多額の地方債を発行したことによる公債費の増を主要因として、歳計剰余金処分により一部積立てを行ったものの、30年度決算において財源不足に対応するため財政調整基金から65百万円の繰り入れを行っている。(今後の方針)令和元年度からは、町の最重要課題である庁舎建設事業が控えていることや、近年における、松野中学校建設事業をはじめとした重点プロジェクト事業の実施に伴う多額の地方債の発行により公債費が増加傾向で推移する見通しの中で、基金の取り崩しは余儀なくされる見込みである。今後は、第5次行財政改革大綱や推進プラン等に基づき、更なる事務事業の見直し、施設の統廃合など、歳出の合理化等行財政改革を徹底し健全財政に努める必要がある。
(増減理由)中学校建設事業をはじめ、宇和島地区広域事務組合における汚泥再生処理センター及び熱回収施設等建設事業等、近年大型プロジェクト事業の実施に伴い、多額の地方債を発行したことから公債費が増加し、30年度において歳計剰余金処分により一部積立てを行ったものの、財源不足に対応するため、基金の取り崩しを行ったことから、対前年度11百万円・1.3%の減となっている。(今後の方針)16年度からの普通建設事業に係る新規地方債の発行抑制策の実施に伴い、これまで減少傾向で推移していた公債費については、近年の大型建設事業の実施に伴い多額の地方債を発行したことから、29年度を機に増加に転じており、今後も基金の取り崩しは余儀なくされる見込みである。今後は、更なる行財政改革の推進により健全財政を堅持する必要がある。
(増減理由)減債基金については利息の積立てのみ。(今後の方針)三位一体の改革等の影響を受け、危機的な財政状況に陥ったことから、16年度に全額を取崩していた。その後、第5次行財政改革大綱、推進プランに基づく人件費の削減や施設の統廃合、指定管理者制度の導入等による行財政改革の実施ほか、新規地方債の発行抑制策に基づく公債費の減少等により、危機的な財政状況から脱し、また地方交付税の回復も相まって、財政調整基金の残高も回復させることができ、比較的安定した財政状況となったことから、将来の公債費負担の増加に備えるため、27年度に35百万円、28年度に30百万円を積み立てたところである。今後は、庁舎建設事業が控えていることや、近年における大型建設事業の実施により、多額の起債を発行したことから公債費が増加傾向で推移する見通しであるため、事業の厳選や行財政改革の推進により健全財政を堅持しなければならないが、状況によっては財源不足に対応するため、減債基金からの繰入も必要に応じて行うものである。
(基金の使途)○主な基金・庁舎建設基金:庁舎の建設に必要な経費の財源を確保するため・地域福祉基金:地域福祉の推進に必要な財源を確保するため・災害対策基金:地震や風水害等のあらゆる自然災害から、町民の生命と財産を守るべく、その予防対策、復旧対策、復興対策等の推進に必要な財源を確保するため・ふるさと応援基金:松野町を愛し、応援しようとする個人又は団体から広く寄附金を募り、この寄附金を財源として協働のふるさとづくりを推進するため・人材育成基金:国内外の修学奨励、研修その他広範囲の有為な人材育成事業に対し、予算の範囲内で奨学金貸付け又は研修助成を行うため(増減理由)庁舎建設基金、地域福祉基金は前年度同額、ふるさと応援基金は対前年度3百万円・12.5%増加する一方、災害対策基金は18百万円・39.1%の減、人材育成基金は1百万円・4.5%の減となっている。(今後の方針)それぞれ基金の事業目的に応じて、今後の計画に基づき対応することとしている。
有形固定資産減価償却率は、類似団体平均と比較すると3.6%低くなっている。このことは当町の有形固定資産が比較的新しいことを示している。その要因としては、当町が老朽化した施設を計画的に整備してきた結果と判断できるが、町の借入金など現在抱えている債務の大きさを考慮して状況を判断する必要があるため、下記の組合せによる分析で具体的な判断を行う。
債務償還比率は類似団体と比較すると203.1%高くなっている。このことは当町の借入金などの負債が類似団体よりも多いことを示しているが、債務内容を詳しく分析すると過疎対策事業債など普通交付税還元率の高い起債を活用している割合が高く、債務の状況は当数値が示すよりは健全な財政状況と判断している。
上記有形固定資産減価償却率の欄で分析しているとおり、当町の有形固定資産は法定耐用年数を迎えるまでの期間が長いことから、今後の施設整備に要する負担は類似団体よりも少ないと想定しているが、将来負担比率については平成29年度までは類似団体と同様に算定されていなかったが、平成30年度からは算定されはじめ、その数値は今後悪化することが想定されている。有形固定資産の整備については町が策定している公共施設等総合管理計画等に基づき、統廃合も含めて公共施設の最適化を計画的に実施することによって、事業費の平準化を図っていく予定である。
近年の大型事業の実施により、平成24年度以降は、地方債現在高が増加している。また、平成27年度から算定されていなかった将来負担比率が平成30年度から算定されることとなり、これまで回復傾向であった財政状況に陰りが見え始める結果となったところである。今後の財政見通しについて、中長期財政計画の試算では、平成24年度以降の大型事業の実施により、公債費についてもその元利償還が開始され、当面の間は増加に転じる見通しである。国・県補助事業や過疎対策事業債ソフト事業分を活用しながら、事業の緊急性等を考慮し、これまで以上に事業を厳選する等、起債発行の抑制に努め、財政健全化を基調とした財政運営に努めていく計画である。
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