経営の健全性・効率性について
・経常収支比率に関しては平成29年度に町内全簡易水道が上水道に統合されたことで減少に転じて100%を下回った。そして、料金回収率に関しては100%以下を推移している状況にあり、平成29年度及び令和2年度に大きく減少した。又、平成29年度以降は赤字決算により欠損金が生じ、令和3年度以降は類似団体と比較して5倍を超えた累積欠損金比率が計上されている。さらに、令和2年度に企業債残高対給水収益比率が増大しており、令和3年度には類似団体と比較して3倍近い状況にある。主な要因としては、平成29年度の簡易水道の上水道への統合による影響が大きく、旧上水道と旧簡易水道の水道料金格差是正を目的に町内統一単価に減額改正したことによる給水収益の減少、旧簡易水道の固定資産取得による減価償却費や企業債償還等の経費増大が考えられる。又、令和2年度及び令和3年度において新型コロナウイルス感染症対策として水道料金基本料金の減免を実施したことによる給水収益の減少による影響も大きい。令和5年度以降も、給水人口の減少による給水量の減少や老朽化が進みつつある施設の維持管理費用の増加により、経常収支比率や料金回収率、累積欠損金比率の悪化が予測される。・施設利用率に関しては、一日配水能力が水利権水量の減少により低下したことで平成30年度に50%を超え令和3年度も同様の水準にある。・有収率は令和2年度に微減となっており、令和3年度も同水準である。これは、漏水兆候の発見から漏水場所の特定までに日数を要した箇所があったためである。例年漏水調査業務委託により漏水の特定を行っているが、老朽化の進んだ配管では漏水の復元も発生しており、今後も計画的な漏水調査と配管更新の実施が必要と考える。
老朽化の状況について
・管路経年化比率に関しては施設の稼働からは約50年が経過しており、老朽化配管の更新や下水道事業に伴う配水管布設替え等行っているが、平成30年度以降は当初稼働以降に行った給水エリア拡張事業で布設した配管や、更新時期が古い配管で耐用年数を超えたものが出てきている。今後は短期間に耐用年数を超えた老朽管が増加していく傾向にあるため、計画的な更新を進める必要がある。
全体総括
過疎化による人口の減少により年々給水量は落ち込んでおり、今後もその傾向は進んでいくと思われる。一方費用面に関しては、飯貝浄水場等の施設の維持コストの削減が難しく、老朽化の進んだ施設や配管の更新が必要になってきており今後費用が増加していく傾向にある。又、平成29年度から簡易水道施設が上水道へ統合されたことで、収支の状況は悪化していくことが予想される。料金回収率が低く費用見合いの収益が確保できていないことから、給水収益を財源の主軸として施設運営を適切に行うためには、水道料金見直しの検討が必要である