経営の健全性・効率性について
経常収支比率は全国や類似団体平均を上回っているが、水需要の減少に伴う給水収益の減少から低下傾向にある。なお、25年度に増加しているのは、開発に伴い一時的に水道の新規給水契約申込者から徴収する水道施設の拡張・整備などに必要となる費用にかかる収入が増加したことが主な要因である。流動比率は全国平均を上回っているが、25年度までは類似団体平均を大きく下回っている。これは建設財源に占める企業債の割合が低く、企業債が借入資本金として資本に計上されていたことによるもので、26年度に類似団体や本市の比率が低下したのは、会計基準の見直しに伴い、借入資本金が負債計上となったことが主な要因である。企業債残高対給水収益比率は全国や類似団体平均を下回っている。これは供給単価が高く給水収益が多い一方で、更新等の工事量が少ないことによるものである。料金回収率は全国や類似団体平均を上回っている。これは従量料金制で逓増率が高いなかで、大口需要家の水量割合が高く、これにより供給単価を押し上げていることが主な要因である。給水原価は、全国や類似団体平均を上回っている。これは水源の約70%が受水であることや、約30%の自己水は深井戸からの取水で施設維持費や更新費用が高いこと、さらには平坦な地形のため配水に係る動力費が高いといった要因のほか、修繕業務を行う職員を確保していること等によるものである。施設利用率は全国や類似団体平均を下回っている。これは給水人口が計画人口の92%に留まっていることや、節水等により一般家庭や事業所等における使用水量が減少していることによるものである。有収率は、全国や類似団体の平均を上回っている。これは漏水等の割合が少ないことによるものである。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率、管路経年化率とも全国や類似団体平均を上回っている。これは区画整理事業等により急激に管路整備をしたことから、老朽化が急激に進んでいることに加えて、経営への影響を考慮し工事費の平準化を図っているため、更新工事が老朽化のスピードに追いつけていないものである。管路更新率は全国や類似団体平均を下回っている。これは経営への影響を考慮し工事費の平準化を図っていることによるものである。
全体総括
現状は累積欠損金もなく、経営に必要な費用を料金で賄えており経営の健全性が保たれている。しかし今後は水需要の減少による料金収入の減少が見込まれるなかで、施設の老朽化・地震対策のために更新事業の着実な推進を図る必要があることから、経営状況は厳しさを増すと予想している。このような状況から、水道サービスの提供を安定的に継続できるよう、中長期的な視点に立った経営を行うとともに、一層の効率化、経営健全化に取組む必要がある。