経営の健全性・効率性について
本市水道事業の経営状況を指標から見ると①経常収支比率については、平成24年度以降、100%を大きく超え、②累積欠損金比率についても、平成26年度に累積欠損金が解消されたことから、一定程度、健全性がある状況です。この要因は平成24年度に実施させていただいた料金改定によるものですが、平成26年度からの会計基準の見直しの影響も大きく受けています(長期前受金の計上など)。また、③流動比率では100%を大きく上回り、資金繰り等の状況は良好で、④企業債残高対給水収益比率についても、平均値との比較においては、過度に企業債に依存している状況ではありません。一方、水道料金に関わる指標の状況については⑤料金回収率では、料金改定後は100%前後で概ね給水費用と給水収益が均衡している状況でしたが、平成26年度においては100%を大きく超えました。これは、⑥給水原価が平成26年度で大きく下がったことによるもので、会計基準の見直しにより、長期前受金戻入相当額が計算上控除されることとなったことが原因です。ただし、給水原価そのものは、受水に依存することから、平均より高い状況です。⑦施設利用率については平均値よりも低いことから、施設の規模についての検討は必要で、既に管網計算を実施し、施設(配水管)のダウンサイジングも更新計画には織り込んでいるところです。⑧有収率については平成26年度に92%台に大きく落ち込みました。大きな漏水事例が原因でしたが、配水管の老朽化がその背景にあります。
老朽化の状況について
①のとおり、償却率は年々上昇し、②の管路経年化率については20%を超えており、他市町村と比較しても老朽化の度合いが高い上、さらに進行しているところです。そのため本市では、厚生労働省のアセットマネジメントを活用した配水管の更新計画を既に策定し、取り組んでいるところです。これは布設後40年から遅くとも60年の間には布設替えできるよう計画しているもので、災害対策等を意識し、φ150mm以上の口径の配水管を優先して事業を進めるものです。従って、配水管全体の経年化率は、今後も1%づつ程度は上昇しますが、財政面を考慮した実効性のある計画となっています(φ150mm以上の配水管の経年化率は徐々に減少していく見込み)。③の管路更新率については平成26年度で0.66%と低い状況ですが、計画に基づき順次、更新を進め、あわせて耐震化を図るなど安全対策にも取り組んでいるところです。
全体総括
本市においては、平成24年度に料金改定を実施させていただいたこともあり、現在のところ、経営指標は比較的良好な数値となっていますが、本市に限らず、水道事業は人口減少や節水意識・機器の定着による有収水量の大幅減少に直面し、今の決算状況をもって楽観できる状況にはありません。さらに本市は他市町村よりも配水管等の老朽化度合が高く、その結果、漏水発生も連動し、有収率も下がりつつあります。今後、施設の老朽化は、さらに進むことから、更新費用の安定的な確保は水道の安全・安心のための緊急課題となっています。経費の見直しに加え、施設更新時のダウンサイジングや漏水対策に取り組んだ上で、有収水量の推移を見定め、適切な収支見通しを行うことで、更新計画を実行性あるものとし、適切な時期に適切な料金水準を設定していくことが必要と考えています。