経営の健全性・効率性について
経常的な収支の関係を表す指標である経常収支比率は、H22~H25において100%以下でしたが、H26には新会計基準の適用により単年度収支が黒字であることを示す100%以上となりました。短期的な債務に対する支払能力を表す流動比率は、新会計基準の適用によりH25に比べH26は300%以上減少したものの490.85%あり、十分な現金等がある状況を示しています。企業債残高の規模を表す指標である企業債残高対給水収益率は、H26は43.53%と企業債残高は給水収益の半分以下であり、名張市と同規模の類似団体に比べきわめて低い数値となっています。これは住宅地開発に伴う施設の新設時に工事負担金等の財源があったことが主な要因と考えられます。料金回収率は100%をやや下回っていますが、H26では給水に係る費用は給水収益のほか加入金などの収益で賄えています。有収水量(料金収入の対象となった水量)1㎥あたりについて、どれだけ費用がかかっているかを表す給水原価は、支払利息等が低いため、類似団体より低くなっています。施設の利用状況や適正規模を判断する指標である施設利用率は、節水や人口減少により低下傾向にあります。施設の稼働が収益につながっているかを判断する指標である有収率は、老朽管の更新並びにH23から計画的に漏水調査を進めていることから年々上昇しています。H26は類似団体87.6%に対し93.37%と高い数値となっています。
老朽化の状況について
H26の有形固定資産減価償却率は、46.9%であり、保有資産が法定耐用年数の約半分を経過していることを示しています。また、毎年少しずつ上昇しています。法定耐用年数を超えた管路延長の割合を表す管路経年化率のH26数値は、16.13%と類似団体に比べ高めですが、法定耐用年数を超えた管路を直ちにすべて更新する必要はないものの、数値は上昇傾向にあり注意が必要です。管路更新化率はH24の0.17%からH26の0.99%へと上昇し、H26には類似団体の数値を上回っています。
全体総括
現在、平成23年度から平成32年度を計画期間とする名張市水道ビジョンに基づき、老朽化施設・老朽管の更新や耐震化に取り組んでいます。今後、管路経年化率が上昇するなか、更新需要はますます増加していきます。一方、人口減少や節水技術の進展により、給水量は減少していきます。また、施設更新時に必要な資金について、新設時にあった工事負担金等の財源は見込めません。こうした状況の中、アセットマネジメント(資産管理)による超長期的な視点のもと、水道料金の適正化を図るとともに企業債も活用しながら、計画的な事業運営を実施していきます。