経営の健全性・効率性について
経常収支比率において、営業収益における給水収益以外の繰入金は、旧簡易水道事業における企業債の元利償還金であり、その内容は一般会計からの基準内繰入金として制度上認められた繰入であることから、経営状況は健全と読み取れる。しかし、施設の老朽化が進んでおり、今後は更新事業費の財源確保も必要となってくるため、引続き健全運営を行えるよう経営の効率化を進めていきたい。流動比率が大きく下がった原因は、更新工事の支払いが未払金となり流動負債が例年に比べ増額したためである。料金回収率については、修繕費の平準化等の効果が現れており昨年度とほぼ横ばいとなっている。今後も、修繕の平準化や漏水調査等を行い突発的な修繕工事を未然に防ぎながら、適正な料金水準を検討していく。施設利用率については、平均値以上の比率であり、適正水準の施設規模で収益が確保できている状況である。今後も現状の取組みを維持し、施設更新時においては更なる規模の適正化についても検討していく。有収率については、集中的な漏水修理工事への取組み等の結果、上水道事業に移行しても平均値以上の高い比率を有していることから、今後も取組を継続していく。
老朽化の状況について
平成23~25年度に村内の旧堀越・長沢簡易水道地区の管路の全更新事業を実施した。当村の水道事業全体としては、平成29年度の上水道事業への移行に伴う水道施設の試算調査・評価が実施されたため、管路の経年変化率等の指標が活用できる状況となった。その結果、特に管路においては今後10年間で経年変化率が84%に達することが明らかとなった。令和元年度に経営戦略(アセットマネジメント計画)を策定し令和2年度では更新計画を作成。令和3年度から更新事業の国庫交付金対する更新事業の交付金申請を行い、財源を確保し更新事業を進めている。
全体総括
上水道事業への移行に伴い、各種財務諸表・指標等が整理され、当村の水道事業及びその資産の状況が明らかとなった。現在、アセットマネジメント計画(資産管理計画)を基に更新計画を策定し、令和3年度から計画的な更新事業に着手している。しかし、更新事業は施工期間25年間の計画で総事業費52億円を見込んでおり、事業には多額な費用が掛かる。適正な料金水準等を把握し、令和4年度に料金審議会を開催し財源の確保のため料金改定を行う。経営健全化を進めるため修繕の平準化、計画的な機器の更新、料金改定等の取組みを行い、持続可能な水道事業としての安定経営を目指す。