経営の健全性・効率性について
①【経常収支比率】→H16年度の効果が現れているH26年度は新会計制度への移行や支払利息の減少、震災からの復旧復興費用の減少により高くなっている。②【累積欠損金】→発生はしていないが、給水収益は給水人口の減少、有終水量の減少に伴い減少傾向にある。③【流動比率】→H16年度の料金改定の目的の一つが資金確保であり予定どおり資金を確保してきている。H26年度は新会計制度の移行により275.14%となった。今後はダウンサイジングの中で施設更新を行うための資金確保が課題である。④【企業債残高対給水収益比率】→給水収益の5年分が企業債残高となっている傾向は変わらないが、給水収益が減少傾向にあるため、今後の建設改良の財源として企業債依存度が高くなることが予想されるため対策の検討をしている。⑤【料金回収率】→これまでは順調に推移してきた料金回収率であるが、今後は給水原価が上がり供給単価が下がる傾向となることから、料金改定についての検討時期に来ていると認識している。⑥【給水原価】→給水原価の58%を資本費、24%を人件費と委託料が占め水道事業経営は硬直化している。企業債の低利借換等により資本費の減少を図ってきた。今後は資産の縮小化等により原価の引き下げが必要である。⑦【施設利用率】→施設の統廃合等による効率的な施設活用が必要となってきている。⑧【有収率】→広範囲な給水区域や数が多い小口径の配水管、大きな給水ブロック等の理由から、全国、類似共に下回る83.05%で低い状態である。平成28年度からは配水施設の維持管理と漏水調査業務を包括して委託、更には給水ブロック化の推進を行い、有収率の向上を図ることとしている。
老朽化の状況について
①【有形固定資産減価償却率】→昭和54年から供用を開始している主要施設・管路が約40年を経過していることから43.6%となっており、今後これらの施設の更新をどのように行うのかが大きな課題であると認識している。②【管路経年化率】→全国平均、類似団体平均の約3倍の値となる29.87%となっている。老朽管の更新(特に石綿セメント管)を積極的に進めてきたが、①に述べたように基幹管路の経年化が進んでおり、今後はこれらの更新を進めていく必要があると認識している。③【管路更新率】→震災前までは管路の更新を重点的に行ってきていたが、震災後は復旧復興事業により管路の更新が停滞している。財務的にも人的にも年間の建設改良費には限度があることから、今後は管路と他の施設への分配が重要になると考えている。現在、平成27年度から3年をかけて、施設更新計画策定委員会を組織し更新計画をはじめ財政計画、耐震化計画等を取りまとめることとしている。
全体総括
平成26年度に登米市地域水道ビジョンを改訂し、実施計画として需要予測や財政計画を策定しているが、今後の水道事業経営を取り巻く環境は更に悪化し、給水収益は給水人口の減少、使用水量の減少等により減少傾向、支出は資本費(減価償却費、企業債利息)が半分を占めていることに加え、今後老朽施設の更新事業も控えているため費用は増加傾向を示している。その環境の悪化に対応するため、平成27年度において施設更新計画策定委員会を設置した。委員会では、市民の皆さんに安全安心な水道水をいつまでも供給できるように、登米市水道ビジョンに基づき、アセットマネジメントの手法を用いて、施設の統廃合・再配置や水道料金についても検討し、今後30年から40年ほどの総合的な長期計画を策定することとしている。検討結果を基に今後の需要予測・財政計画を含めて施設更新を検討し、平成29年度に計画を策定することとしている。