釜石市

財政力指数の分析欄

基準財政収入額が円高による輸出産業の不調に伴う減（平成２８年度４３．６億円→平成２９年度４１．７億円）となったものの、東日本大震災の影響により続く人口減少（平成２８年度末３５，００５人→平成２９年度末３４，２４０人）などマイナス要因の影響から、基準財政需要額が減（平成２８年度８７．１億円→平成２９年度８４．７億円）したため、財政力指数は０．０１ポイントの増加となった。今後も、東日本大震災の影響による人口減少や課税客体などのマイナス要因が見込まれることから、歳出経常経費の徹底的な削減を図るとともに、税収増加への施策の重点化など、収納率向上に努め、財政の健全化を図る。

経常収支比率の分析欄

歳入（経常的経費）では、地方交付税が減少（－１７６，０３０千円）したものの、地方税が増加（１８３，０１１千円）したため、経常的収入全体で１０７，４７１千円の増加となった。歳出（経常的経費）では、物件費（１３５，５２５千円）、公債費（９０，４９２千円）の増加などにより、経常的支出全体では１８７，１７７千円の増加となった。この結果、前年度と比較して経常収支比率は０．８ポイントの増加となったが、類似団体平均、全国平均及び岩手県平均を上回っている。今後も市税等の収入確保とともに歳出の抑制に努める。

人口1人当たり人件費・物件費等決算額の分析欄

人件費は、地方公務員共済組合等負担金（１１，６７３千円）、退職手当組合負担金（１０，７３０千円）の増加などにより、人件費全体として２７，８０１千円の増加となった。物件費は、市民ホール管理運営費の増加（９４，４９０千円）、応急仮設住宅設置経費の減（－４８，１３９千円）などにより、物件費全体として１８２，４１９千円の増加となった。この結果、前年度と比較して、人口１人当たり人件費・物件費等決算額は９，８１５円の増加となり、類似団体平均、全国平均及び岩手県平均を上回っている。近年は復旧・復興事業による施設の再建に伴う維持管理費が発生しているが、指定管理制度の導入などにより、コスト削減に努める。

ラスパイレス指数の分析欄

前年度からラスパイレス指数の変動はなかったが、類似団体平均を上回り、全国市平均は下回っている状況が続いている。東日本大震災からの復旧・復興、及びラグビーワールドカップ２０１９？への対応等のため、民間経験のある職員の採用が増えたことから、経歴を加味した給与の設定が給与水準を押し上げている状況にあるものと思われる。今後は、人事評価制度の導入等による職務・職責に応じた構造への転換を進めるなど、給与体系の適正化に努める。※平成２９年度数値については、平成３０年度調査結果未公表のため、前年度の数値を引用している。

人口1,000人当たり職員数の分析欄

東日本大震災以降、復旧・復興事業の推進に更なる人員増加が必要であったことと、当市の人口減少が相俟って、近年は類似団体平均、全国平均及び岩手県平均を上回っている状況にあり、復興事業が収束するまではその状況が続くものと見込まれる。今後は、復興事業の収束とラグビーワールドカップ２０１９？開催後の業務量を見据え、段階的に採用の抑制を行うとともに、新市庁舎の建設を契機とした効果的な職員配置や民間委託の推進を図り、人員の削減に努める。

実質公債費比率の分析欄

平成２９年度の公債費は、過疎対策事業債（１２１，５７３千円）、公営住宅建設事業債（９６，２１９千円）、臨時財政対策債（６６，６４３千円）の増、一般単独事業債（－６９，１６７千円）の減などにより、１８５，００７千円の増加となった。また、標準財政規模が減少（－３８０，６４９千円）し、実質公債費比率としては、単年度比率は数値が上昇したが、３年平均値としては０．０３ポイント減少したものの、類似団体平均、全国平均及び岩手県平均を上回っている。近年は公共施設等の建設など、大規模な市債発行を行っていることから、今後は事業計画の整理や縮減を図りつつ、公営企業債の元利償還に対する繰入金などの抑制に努める。

将来負担比率の分析欄

将来負担比率を算出する式の分子となる将来負担額が増加（２５２，３５３千円）し、分子の控除数値となる充当可能財源等も増加（８１，５９４千円）したものの、分子全体では１７０，７５９千円の増加となった。また、分母全体でも減少（－４３４，９７０千円）となったことから、昨年度数値から２．３ポイント増加したが、類似団体平均、全国平均、岩手県平均を下回っている。この要因として、東日本大震災の復旧・復興事業に係る震災復興特別交付税の精算を多く含む財政調整基金が充当可能基金を押し上げているためである。今後は税収等も人口減少等により伸び悩みが避けられないことから、地方債や義務的経費の削減など財政健全化を図り、比率の上昇を抑制する。

人件費の分析欄

地方公務員共済組合等負担金（１１，６７３千円）、退職手当組合負担金（１０，７３０千円）の増などにより、人件費全体で２７，８０１千円の増加となった。経常経費充当一般財源の人件費は前年度比２．８％の増加となっているため、経常収支比率は０．５ポイントの増加となった。類似団体平均、全国平均及び岩手県平均を上回っており、今後は、直営で運営している施設に対する職員配置の見直しを行い、施設の統廃合を含め、民間への委託や効果的な職員体制の構築を図り、市民ニーズを反映した組織体制に基づき削減に努める。

物件費の分析欄

市民ホール管理運営費（９４，４９０千円）の増、応急仮設住宅設置経費（－４８，１３９千円）の減などにより、物件費全体として１８２，４１９千円の増加となった。経常経費充当一般財源の物件費は、前年度比１０．５％の増加となったため、経常収支比率は１．１ポイントの増加となった。類似団体平均、全国平均及び岩手県平均を下回っているが、近年は復旧・復興事業による施設の再建に伴う維持管理費が発生しており、指定管理制度の導入などにより、コスト削減に努める。

扶助費の分析欄

臨時福祉給付金給付事業（１１７，７８０千円）、子ども・子育て支援給付事業（１１０，３８７千円）の増、年金生活者等支援臨時福祉給付金給付事業（－１６１，９４０千円）の減などにより、扶助費全体として７０，１４２千円の増加となった。経常経費充当一般財源の扶助費は、前年度比２．１％の減少となったため、経常収支比率は０．３ポイントの減少となった。類似団体平均と岩手県平均を上回っており、今後は、市単独の医療給付費の増加なども見込まれるため、各種手当への特別加算などの見直しを進めていくことで財政負担の抑制に努める。

その他の分析欄

介護保険事業特別会計繰出金（－２９，８２８千円）、後期高齢者医療事業（－１５，８２５千円）の減などにより、繰出金全体として－４１，３３１千円の減少となった。経常経費充当一般財源の繰出金は、前年度比４．２％の減少となったため、その他の経常収支比率は０．５ポイントの減少となった。類似団体平均、全国平均及び岩手県平均を下回っているが、近年は復旧・復興事業による施設の再建が進んでおり、今後の維持管理費の増加が懸念されることから、事業計画の整理や縮減を図りつつ、維持補修費の抑制に努める。

補助費等の分析欄

下水道会計負担金（２，３９５，３９６千円）、被災者住宅再建支援事業（１５１，５００千円）の増などにより、補助費等全体として２，５７８，９２３千円の増加となった。経常経費充当一般財源の補助費等は、前年度比３．０％の減少となったため、経常収支比率は０．７ポイントの減少となった。類似団体平均、全国平均及び岩手県平均を上回っていることから、今後も引き続き、補助金及び負担金の見直しや廃止を行い、コスト削減に努める。

公債費の分析欄

平成２０年度から市債発行額を元金償還額の９０％以下にすることで公債費抑制を図ってきたが、過疎対策事業債（１２１，５７３千円）、公営住宅建設事業債（９６，２１９千円）の増、一般単独事業債（－６９，１６７千円）の減などにより、公債費全体として１８５，００７千円の増加となった。経常経費充当一般財源の公債費は前年度比４．８％の減少となり、経常収支比率は０．７ポイントの増加となった。近年は公共施設等の建設など、大規模な市債発行を行っているが、事業計画の整理や縮減を図りつつ、公営企業債の元利償還に対する繰出金などの抑制に努める。

公債費以外の分析欄

人件費については、職員配置の見直しや、民間への委託化など、市民ニーズを反映した組織体制に基づき、削減に努める。物件費については、引き続き削減に努める。扶助費については、各種手当の見直しなど財政負担の抑制を図る。補助費等については、補助金など交付基準等の見直しや廃止を行い削減に努める。その他については、特に公営企業に対する負担金について、繰出基準に基づく厳密な繰出や公営企業会計の法適化による料金の適正化など、経営の効率化を踏まえて負担金の抑制に努める。

基金全体

（増減理由）・東日本大震災復興交付金基金を２４，５３２，２３８千円取り崩していたこと、復興まちづくり基金を９７１，２６１千円取り崩したことなどにより、基金全体では－２１，８１５，２２７千円の減少となった。（今後の方針）・復興事業がピークを過ぎ、復興事業の財源となる特定目的基金の残高が減少していくことが影響し、基金全体の残高は減少していく見込みである。

財政調整基金

（増減理由）・財政調整基金は、前年度の決算剰余金などにより２，９５６，１７２千円を積み立てたが、復興事業の進捗に応じて３，０００，０００千円を取り崩したため、残高は－４３，８２８千円の減少となった。（今後の方針）・基金の使途の明確化を図るために、財政調整基金を取り崩して、減債基金など他の基金に積み立てていくことを予定している。

減債基金

（増減理由）・減債基金は、災害復興公営住宅建設事業債などの償還に備えて２０３，３６４千円積み立てたことにより増加となった。（今後の方針）・復興事業により災害復興公営住宅が多数建設されたことから、今後の償還に備えて、さらに積み立てを予定している。

その他特定目的基金

（基金の使途）・東日本大震災復興交付金基金：東日本大震災復興交付金事業の財源に充当・復興まちづくり基金：復興交付金事業以外の東日本大震災からの復興事業の財源に充当・庁舎建設基金：新市庁舎の２０２３年度開庁に向け、建設事業の財源に充当（増減理由）・東日本大震災復興交付金基金：東日本大震災復興交付金の配分が昨年度から－１，０３８，５９４千円減少の３，０１７，８７０千円であったのに対し、復興事業の財源として２４，５３２，２３８千円を充当したことによる減少・復興まちづくり基金：ふるさと寄附金分などを財源とした積立金２７，３０３千円に対し、被災者住宅再建などの財源として９７１，２６１千円を充当したことによる減少・庁舎建設基金：２０２３年度開庁に向けて整備を進める新市庁舎建設事業の財源に充当するため、４００，６５２千円を積み立てたことによる増加（今後の方針）・東日本大震災復興交付金基金：東日本大震災復興交付金の配分を受け、残高が増加していたが、復興交付金配分のピークが過ぎたことと、復興交付金事業の進捗に伴う充当により、残高は減少傾向にある。復興事業も終盤を迎えていることから、今後も同様の傾向が続き、残高は減少していく見込みである。・復興まちづくり基金：主に被災者の住宅再建事業に充当しており、復興交付金事業の進捗に伴い、被災者の住宅再建が進んでいることから、今後残高は減少していく見込みである。・庁舎建設基金：２０２３年度開庁に向けて整備を進める新市庁舎建設事業費の概ね半分を目標に、今後さらに積み立てを予定している。

有形固定資産減価償却率の分析欄

有形固定資産減価償却率については、類似団体より高い水準にあり、平成２９年度以降においても同様の傾向が続く見通しである。これは昭和５０年代以降に集中的に整備された施設が多く、耐用年数を迎え老朽化に直面しているためで、築３０年以上を経過した施設が全体の約３８％を占め、今後も数値の上昇が懸念される。平成２８年度に策定した公共施設等総合管理計画において、建築系公共施設の新規整備が必要となった場合は複合化、多機能化、統廃合により、既存施設面積の削減を図ることで施設総量の抑制を目指している。今後は有形固定資産減価償却率の水準に留意しつつ、早期に施設ごとの個別施設計画を策定し、より適正な施設の維持管理を目指していく。

債務償還比率の分析欄

分析欄：将来負担比率及び有形固定資産減価償却率の組合せによる分析

将来負担比率の算出式の分子となる将来負担額（252,353千円）が増加し、分母となる標準財政規模（△380,649千円）が減少したため、将来負担比率は昨年度の6.7％から9.0%となったが、類似団体平均を下回っている。要因としては、東日本大震災の復旧・復興事業に係る震災復興特別交付税の精算金を多く含む財政調整基金が充当可能基金を押し上げているためである。今後も地方債や義務的経費の削減など財政健全化を図り、比率の上昇を抑制する。また、有形固定資産減価償却率は類似団体内平均値を若干上回っているが、過去に集中的に整備された施設の老朽化に直面しており、今後は数値の上昇が懸念されることから、早期に施設ごとの個別施設計画を策定し、より適正な施設の維持管理を目指していく。

分析欄：将来負担比率及び実質公債費比率の組合せによる分析

将来負担比率の算出式の分子となる将来負担額（252,353千円）が増加し、分母となる標準財政規模（△380,649千円）が減少したため、将来負担比率は昨年度の6.7％から9.0%となったが、類似団体平均を下回っている。要因としては、東日本大震災の復旧・復興事業に係る震災復興特別交付税の精算金を多く含む財政調整基金が充当可能基金を押し上げているためである。今後も地方債や義務的経費の削減など財政健全化を図り、比率の上昇を抑制する。平成29年度の公債費は、過疎対策事業債、公営住宅建設事業事業債の増などにより185,007千円の増となり、実質公債費比率（単年度）は前年度より1.6ポイント増加した。復旧復興事業に伴い、過疎対策事業債、復興公営住宅建設事業債など、大規模な市債発行を行っているが、事業計画の整理や縮減を図りつつ、公営企業債の元利償還金に対する繰入金などの抑制にも努める。