経営の健全性・効率性について
当市の水道事業における平成26年度の経常収支比率は113.79%で、収支が黒字であることを示す100%以上となっています。併せて、給水にかかる費用がどの程度給水収益で賄えているかを示す指標である料金回収率は103.30%であり、100%を上回っていることから概ね給水収益で賄えている状況となっています。また、1年以内に支払うべき債務に対して現金の保有状況を示す指標である流動比率は212.84%で、この数値も100%以上となっていることから単年度でみると概ね健全な経営状態にあるといえます。一方、水道施設整備の財源として借り入れた企業債残高の規模を示す企業債残高対給水収益比率は、類似団体及び全国平均値と比較し高い数値となっています。また、有収水量1㎥あたりどれだけ費用がかかっているかを表す指標である給水原価は概ね230円前後で推移しており、類似団体及び全国平均値と比較し高い数値となっています。これらは、経常費用の約50%を施設の減価償却費と企業債の支払利息が占めており、これまでの施設整備に多額の費用を要してきたことが数値を上げる要因となっています。施設の効率性についてみると、一日配水能力に対する一日平均配水量の割合を表す施設利用率は平成26年度で56.18%となっており、概ね類似団体及び全国平均値と同レベルを確保しています。しかし、1日最大配水量に対する1日平均配水量の割合を示す負荷率は81.48%で、全国平均値を下回る数値となっていることから、当市の水道事業は年間を通して配水量の変動が大きいといえます。また、有収率は平成26年度で80.44%となっており、類似団体及び全国平均値を下回っており、老朽管の更新と漏水調査を引き続き計画的に行っていく必要があります。
老朽化の状況について
有形固定資産のうち、償却対象資産の償却がどの程度進んでいるかを示す指標である有形固定資産減価償却率は平成26年度で43.36%となっており、概ね類似団体及び全国平均値と同レベルにありますが、高度経済成長期の水道新設・拡張期に整備した施設はこれから一斉に法定耐用年数を迎えることとなります。また、管路の老朽化度合を示す指標である管路経年化比率は4.13%で、類似団体及び全国平均値よりは低いものの、すでに法定耐用年数を経過しているものもあり、老朽化を原因とする漏水事故がたびたび発生しています。これらのことから、今後も計画的に施設更新を進めていく必要があります。
全体総括
当市の水道事業は、現状では健全な経営状態を確保しています。しかし、今後は人口減少に伴う使用水量の減少により給水収益の減少が予測されることから、業務委託等による事業運営の効率化により経費の縮減を進めるとともに、適正な料金体系の設定により安定した給水収益の確保が必要です。また、今後の施設整備にかかる企業債の発行を抑制するため、国庫補助制度の有効活用により財源確保する必要があります。水道施設の更新については、中長期的な視点に立ち、人口減少に伴う水需要の減少に対応したダウンサイジングや施設の統廃合等、効率性を意識しながら優先順位を定め計画的に進めていきます。