経営の健全性・効率性について
萩市の上水道事業は、昭和11年に創設し、昭和36年に地方公営企業法の適用を受け、平成29年4月1日に法適用及び法非適用の簡易水道事業等を全て経営統合した。現在は、市町村合併により広大となった市域全ての水道事業を一つの上水道事業として経営している。経常収支比率は、給水収益や一般会計からの繰入金の減少等により、前年度を下回っている。流動比率は、前年度及び平均値ともに上回っており、理想比率は200%以上とされていることから、短期債務に対する支払能力は安定していると考えられる。企業債残高対給水収益比率は、経営統合により企業債残高が増加したため、平均値を上回っている。今後も老朽施設の更新等を控えているため、さらに比率が高くなることも想定される。給水収益の減少率が経常費用の減少率より多く、給水原価が前年度を上回ったため、料金回収率が前年度より微減した。有収率は、平均値より低く逓減傾向にあるため、漏水調査と管路の更新を実施し、有収率の向上を図る。
老朽化の状況について
有形固定資産減価償却率が平均値より高く施設の老朽化が進んでいる。管路経年化率は、平均値と同様の推移をしているが、管路更新率が平均値を下回っているため、管路の更新投資を増やしていく必要がある。中長期的な施設整備計画である「水道事業ビジョン」に基づき、耐用年数を経過した水道管路及び施設を計画的に更新し、安定供給と有収率の向上に努める。
全体総括
萩市の水道事業は、適正な料金収入の確保や経費の抑制に努めているが、離島や中山間地域等を多く抱えており一般会計からの繰入に頼らざるを得ない現状にある。平成23年度に料金改定を行い、現在は、経常収支及び短期支払能力は安定しているものの、有収率が平均値より低く施設の老朽化が進んでいる。今後は、中長期的な施設整備計画である「水道事業ビジョン」に基づき、耐用年数を経過した水道管路及び施設の更新を計画的に進めるとともに、適正な時期に水道料金水準の検討を行い、安定供給と経営の健全化に取り組む必要がある。